ビルの25階から飛び出し伸ばした手じゃ 君のいる空に届かないね
哀れに落ちる風の中で聞こえた君の声はこう言ったんだ
「余るほどの金と自由な暮らしのその先に、お前の望む幸せはないぞ」
風と共に声は消えたが そこにいるなら 雲かきわけ手を伸ばしてよ
出典: スパルタ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
ビルの高層階に立つ男性主人公。
富や地位(冒頭歌詞の英語「gold」を指す?)をすでに手にしている様子。
ここは妄想シーンでしょうか。
絶望のあまり死を願っているかのようです。
<レイラが手に入らないのなら、いくらgoldを手にしても無意味>
そんなふうに読み取れる歌詞ですね。
主人公は二度と「レイラ」を手に入れることはできないのでしょう。
2番の歌詞をチェック
音韻遊びにご注目
さんざん説き伏せて Stay gold
ちょっとスパルタなくらい 日々Stay gold
残念なくらい Life 無礼講
ちょっと簡単に捨てられる傾向
出典: スパルタ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
この歌詞は遊び心で韻を踏んでいます。
各行の語頭&語尾の音韻が特徴的ですね。
曲冒頭の歌詞(1~2行目)がここにも登場しますが、後で考察することにします。
そして3~4行目は自虐的。
荒んだ生活&精神により、大切な女性(レイラ)からも見放されてしまうのでしょう。
すべては歴史に埋もれていく…
元気な顔して「また明日」って言って
二度と会えぬことになった仲間が俺には2人いて
そんなことも日々世間じゃ当たり前に起こって
何も無かったように消えていくよ
出典: スパルタ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
この歌詞の2人は、LIVEでは「3人」と歌われることもあります。
<かつて数人の友を突然喪(うしな)った>という意味でしょうか。
(それとも片思い中に去った女性を指しているのか?)
ここは別れを惜しむというよりも、時の経過が無為で残酷であることを語っている気がします。
かつて傍にいたはずの人間も歴史にあっけなく埋もれていく…。
時の流れへの虚無感をTAKUYA∞氏は歌にしたかったのかもしれません。
不安を隠すために
ざっと見積もって残された時間だけで 何もできるはずは無いと諦め始めて
だけど死ぬのなんてもっともっと怖くて 一人ぼっちにはされたくはないから
飛べるふりをして生きてたんだ
光を放てるふりをしたんだ
あの日からすべてが
出典: スパルタ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
最後の行は「レイラと出逢った日」のことでしょうか。
それとも「レイラが去った日」のことなのか。
どちらにも取れる歌詞ですが、前者のほうがしっくりくるように思えます。
というのも、音楽家は人一倍繊細な感性を持っていることが多いです。
クラプトンもさまざまな依存症に陥りました。
孤独や不安にさいなまれる日々。
さまざまな物(=gold?)を手にすることで解消してきたその心の不安定さ。
輝くようなボイドに出逢ってその精神は一変したことでしょう。
ところがボイドはクラプトンの元から去ってしまいました。
クラプトンに残されたのはまたもや孤独です。
その荒れた精神状態をTAKUYA∞氏は「スパルタ」の歌詞に託したのかもしれません。
それでも<不安だからこそ自信に満ちているかのように振る舞う>。
著名人は大変です。
辛い時でも“輝いている自分”を演出せねばならないこともあるのですね。
多くの人の営み
ねぇレイラ
ビルの25階から見下ろして見えたすべての 一つ一つの街の光が
同じほどの時にそれ以上の哀しみをたいて
生を授かり果たしているんでしょ?
この街の光を見ているときだけは 一人じゃ無い気になれた
年を重ね強くなっていくつもりが 臆病になっていくようで
出典: スパルタ/作詞:TAKUYA∞ 作曲:TAKUYA∞
この歌詞の主人公をTAKUYA∞氏に当てはめて深読みすると面白いです。
ステージ上から観客を見下ろしているTAKUYA∞氏。
(「レイラ」は女性の名なので呼びかける対象は女性客なのかもしれません)
ひとりひとりの観客の生命の輝きを眺めている間は孤独から解放される。
この歌詞は、TAKUYA∞氏視点の独り言。
そんなふうにも読み取れます。
TAKUYA∞氏はファンに向かって「貴女(たち)がgoldよりも大切だ」と呼びかけているのかもしれません。