アコースティックギターで紡ぐ「季節」

星野源の「季節」。

アコースティックギターの音色が、オシャレなコード進行にマッチしています。

ファルセットを使った切ないサビのメロディもとても印象的です。

そして歌詞にも星野源が炸裂。

具体的な情景描写はあるものの、主語が出てこないので抽象度が高いです。

歌詞はどんな心象風景を歌っているのでしょうか。

徹底深掘りしていきたいと思います。

星野源の不思議な世界観に浸りたい人は、ぜひ読んでみてください。

リラックスしている印象の1番

どんな風景?

星野源【季節】歌詞の意味を徹底解釈!どうして切ないのに喜ぶの?取り付かれても笑う心情を読み解く!の画像

柳が揺れ あの娘の
ああ 街の灯がゆれてる
平屋の角 細道
湯気が狭いお空に
消えてゆく 消えてゆく我は
溶けてゆく

出典: 季節/作詞:星野源 作曲:星野源

先ほども述べましたが、若干抽象度が高い歌詞なので、簡単に描かれている風景を説明します。

坂の上の柳の木の間から、街を見下ろしているのでしょうか。

街にきっと、主人公が好きな女性が住んでいるのだと思います。

それからお風呂の場面です。

歌詞の主人公は、夜の帰路からお風呂に入ったのだと思います。

銭湯なのか、自分の家なのかは定かではありません。

柳が出てくるので、平屋も昔ながらの日本家屋のようなイメージが浮かびます。

天井のことを狭いと表現しているのでしょう。

もしくは、お風呂場の窓から見える空です。

主人公は温かいお湯につかって、至福の時を味わっているのではないでしょうか。

どんな心情を表している?

星野源【季節】歌詞の意味を徹底解釈!どうして切ないのに喜ぶの?取り付かれても笑う心情を読み解く!の画像

このパートには直接主人公の感情が書かれていないので、心情を読み取るのが少し難しいですね。

描かれている風景から読み解く他ないでしょう。

この部分をひと言で表すと、日常の侘しさとささやかな幸福だと思います。

侘しさと幸福って相反するもののように感じられるでしょうか。

しかし、日常の一場面を切り取ってみると、2つの要素が入り組んだシーンは割と多いのです。

これらを同時に表現してしまう巧みさが、星野源の歌詞の持ち味であり、素晴らしさなのでしょう。

具体的に考えてみましょう。

街の光を見ながら、女性のことを思っているという帰路の部分は侘しさです。

湯気のあとからは、ささやかな幸せと侘しさを両方同時に表しているような印象を受けます。

日常をしっかり受け止めながらも、心の何処かに満たされない部分がある。

主人公はそんな心情なのではないでしょうか。

いつも通りの日常。

いつも通りの風景。

それはそれで幸せなことだけど、なんだか満たされないのです。

きっと意中の女性と両思いに至っていないからなのでしょう。

日常のささやかな風景に、その女性が入り込んでしまう

何をしててもその女性のことを考えてしまう。

そんな状態なのかもしれません。

そう考えると、なんだか切ないですね。

主人公がお風呂に入っているわけではないという解釈

溶けるというような表現があるので、主人公はお風呂に入っていそうです。

しかし、歌詞に“お風呂”と書いていないので、断定はできません。

もしかしたら主人公は、まだ外を歩いている途中なのかも。

細い道で家から出ている湯気を眺めている、という解釈も可能です。

誰か知らない人が、幸福に浸っている最中なのだとしみじみ感じているのかも。

家屋から出てくる湯気に、温かい家庭の雰囲気を感じ取りながら、主人公は一段と侘しさを感じます。

1人で歩いている自分とは対照的だからです。

そう考えると、最初の解釈よりさらに幾分か、切なさが増します。

もしかすると歌詞の主人公は、思った以上の悲しみを秘めているのかもしれません。

感情が張り裂けそうに歌うサビ

主人公の切情を歌う

誰かに微笑んだ
その季節思い出す
何かに取り付かれていたように

出典: 季節/作詞:星野源 作曲:星野源

笑ったのも取り付かれていたのも主人公自身でしょう。

笑った相手が、先ほどのパートに出てくる女性なのだと考えられます。

きっと周りが見えないほど、その女性に夢中だったのでしょう。

そして、今その女性は自分のそばにいないのです。

街のどこかにいるのでしょう。

もしかしたら前のパートで歌われていた風景も、その女性と過去に見たものなのかもしれません。

過去を思い出して切ない感情に身を切られているのです。

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