心はぐれては かすむ道
ただ愛せ 振り返ることなく

夏のかほり消えるだろ 落陽の彼方に
何も分からねえ分からぬまま からから鳴きぬれる

出典: 何処へ行く/作詞:THE BACK HORN 作曲:THE BACK HORN

歌詞全体を通して見ても「ただ愛せ」の具体的な対象は登場しません。

つまり特定の人や物を指しているわけではないのです。

何も変わらない世界で生きていることそのものを愛せ、そんなことを歌っているのではないでしょうか。

人間は誰しも自分が生きている意味を見出したくなるものです。

自分が存在することで、世界の何かが変わっていて欲しいと願うことさえあります。

でも現実は自分ひとりいてもいなくても何も変わらなかったり、明確な意味も導き出せなかったりします。

答えの出ない問いに縛られるくらいなら、何にも変えられないちっぽけな自分を愛そうぜ。

そんな、ただ生きることを誇りたくなるようなメッセージが込められているようです。

生きることを全肯定するのは、決して簡単ではありません。

ただ居直っているわけではなく、本気で命をかけていく決意の歌なのではないでしょうか。

新録MVに注目

アルバム発売を記念してMVが制作されています。

オリジナルは無骨で荒々しいサウンドが印象的な楽曲です。

再録されたことで20年の積み重ねを感じさせる、深みある作品に生まれ変わりました。

10代だった頃の音色と、不惑の40才を目前にした今とでは雰囲気もガラリと変わっています。

思い出の場所

THE BACK HORN【何処へ行く】の歌詞を解説!ただ愛せ…俺に言った言葉には大きな意味があったの画像

MVの撮影会場は老舗ライブハウス・新宿ロフトです。

ここは東京に数あるライブハウスの中でも、バンドの原点となる場所です。

この場所がなければ、今のTHE BACK HORNは存在していないと言っても過言ではありません。

実はTHE BACK HORNはメジャーデビュー直前に、初代ベーシストが脱退しています。

後任探しをしていた折、従業員だった岡峰光舟を紹介したのが当時の新宿ロフト店長でした。

驚きなのが残されたメンバー不在のロフトにて、マネージャーと店長がこの話を進めたのだとか!

(脱退のショックで後任探しの気力が出ないほど、メンバーは悲しみにくれていたそうです…。)

だからTHE BACK HORNにとってはある種の事件現場であり、リスタートの場所でもあるのです。

そんな所縁ある場所での撮影ですから、メンバーにとっても感慨深いものがあったのではないでしょうか。

ファンと作り上げたMV

THE BACK HORN【何処へ行く】の歌詞を解説!ただ愛せ…俺に言った言葉には大きな意味があったの画像

ところで一見するとなんの変哲もないMVのように思われます。

しかし本作はファンと一丸となって作り上げた、アニバーサリー企画に相応しい作品なのです。

MVの撮影参加権や限定アイテムと引き換えにファンが出資し、それによって作られました。

ギャラリーにいる観客は皆、この企画に賛同したファンの方々です。

クラウドファンディングの一種ですが、こういった形でアーティストの作品作りに参加できるのは素敵ですね!

彼らがインディーズで活動していた頃はまだ、このようなアーティストの支援は一般的ではありませんでした。

インディーズ時代の作品だからこそ、意義のある企画だったのではないでしょうか?

しかしこれからは有名無名問わず、主流のやり方になっていくことでしょう。

意欲作が多数!

THE BACK HORN【何処へ行く】の歌詞を解説!ただ愛せ…俺に言った言葉には大きな意味があったの画像

『ALL INDIES THE BACK HORN』には他にも意欲的な再録曲が多数収録されています!

変わり種としては『雨乞い』は実に斬新な形で生まれ変わりました。

原曲もインストゥルメンタル形式のひとつですが、呻き声とも叫び声とも言えぬ謎の歌詞が強い印象を残します。

再録バージョンでは、普段のレコーディングではあまり使用しない楽器や特殊なマイクで収録したそうです。

より”Live”感のあるアルバム

さらにはライブで実際にやっているようなアドリブ要素も、ふんだんに盛り込まれています。

CD音源だけれど、生演奏を聴いているようなLive感が味わえるのも、このアルバム一番の魅力です。

そんな中でリードトラックに選ばれた『何処へ行く』は、これまでの活動の集大成的位置付けとなる予感がします。

そして今回の再録で行ったことが、今後の新曲作りにも大いに反映されていくのではないでしょうか? 

まとめ

THE BACK HORN【何処へ行く】の歌詞を解説!ただ愛せ…俺に言った言葉には大きな意味があったの画像

バンドにとって原点である『何処へ行く』を紹介しました。

キャリア的にはベテランバンドの仲間入りを果たしていますが、新たな企画にも挑み続けているバンドです。

インディーズ時代の楽曲を、新しい取り組みをしながら再録したのもそんな姿勢の表れではないでしょうか。

生まれ変わった過去の名曲たちと合わせて、ライブでのパフォーマンスにも注目です!

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