束の間の沈黙を破る question
九回の裏で魅せるピッチャーのように
I'm throwing my heart
一人でも続けると決めた mission
誰にでも好きと言えるわけじゃない
狙いを定めて
I'm throwing my heart at you

出典: プレイ・ボール/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

サビでの彼女はピッチャーです。

9回裏。チームはリードしています。

こんな場面で、ピッチャーが背負っている責任感や重圧はハンパではありません。

ここでは「抑えるしかない」のです。守備についているチームメイトは見守るしかありません。

そうスタジアムすべての視線はピッチャーに集まっています。

ここで抑えてこその”エース”ではないでしょうか。

彼女自身はまさにエースの気分なのです。

臆病な気持ちを押し殺して、意中の相手に質問を投げかけます。

エースのように狙いを外さないよう、自分の気持ちを”あなた”に向かって投げているのです。

野球に見立てることで、一種の緊迫感が伝わり、彼女の不安な気持ちやドキドキが手に取るように感じられます。

夏の終わり

あきらめたくはないけれど・・・

夏も終わりの気配漂う八月末
あきらめないで
全力尽くしてもダメだったら
それもまた風流

出典: プレイ・ボール/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

熱い戦いを経て、夏が終わろうとしています。

”終わり”という言葉から、彼女の恋のゲームも終わろうとしていると捉えられます。

この暑い季節の中、彼女は球児たちのように必死だったのでしょう。

彼しか見えず、彼を振り向かせようとあの手この手を使ったのかもしれません。

それでもまだ、このゲームの勝ちが見えない様子。あきらめたくはありません。

それでも、あきらめるしかないのかもしれない・・・。

”風流でしょう”というのは強がりでしょうか。

球児たちの熱戦は勝っても負けても、私たちの心に感動を与えます。

それは、これまで必死に頑張ってきた年月や努力が透けて見えるからです。

彼女は自分の舞台である球場において、同じように必死に戦ってきました。

100%の強がりだけではなく、負けても悔いはないほどの必死さだったのかもしれません。

宇多田さんの歌詞は言葉数は多くないのに、イメージが頭に自然と浮かんできます。

それでいて、ありきたりの歌詞に聞こえない独特のセンスに、私たちは惹かれてしまうのではないでしょうか。

ロマンティックに

花火の色が横顔を染める
淋しい空が急に笑う
きれいな星が帰り遅らせる(sounds like 「play ball」)
望むところ

出典: プレイ・ボール/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

ロマンティックな描写も織り込まれています。

時間は夜。夏の祭りから連想される花火に、愛しい人の横顔が照らされます。

真っ暗な空が明るくなるばかりではなく、彼女の心までぱっと光が照らされたような気分に。

花火に星に、とロマンティックな要素が彼女と彼の歩みを遅らせるのでしょうか。

それはまるで、”プレイボール”つまり試合の合図なのです。

さらりと織り込まれたこれらの歌詞は、甘酸っぱい気持ちを呼び起こさせませんか。

私はランナー

狙うは・・・

宇多田ヒカル「プレイ・ボール」の歌詞を独自解釈!恋という名の球場で想いを込めた1球を投げてみない!?の画像

君の胸のどこかに眠る passion
わずかな隙見逃さぬランナーのように
I'm stealing your heart
一人でも続けると決めた mission
誰にでも素顔見せるわけじゃない
眼鏡をはずして
I'm throwing my heart

出典: プレイ・ボール/作詞:宇多田ヒカル 作曲:宇多田ヒカル

2番のサビでは、彼女はランナー。

次の塁を狙うランナーのように、愛しい人の心を盗もうとしています。

愛しい人の心には、情熱が秘められているのを知っているのです。

本当は臆病な心も持っているけれど、強がりの仮面をかぶっている彼女。

「ありのままの自分を見せるのは、あなたの前だけなの」と心のうちをさらけ出しています。

多くの人に当てはまるような心情を、選りすぐりの言葉で歌い上げる宇多田さん。

決して熱い言葉を使っている訳ではないのに、切ない感情が押し寄せてくるのが不思議です。

ストレート勝負

はぐらかすのなら・・・