【ダレもいねえ/t-Ace】ハーレム状態のMVの最後は？本当は自分でもダメさがわかっている歌詞も注目

ファーストアルバム『孤高の華』のリリースから10年、有象無象のヒップホップ界で独特の世界観を築き上げてきたt-Ace。

大きな節目である2018年の6月13日に通算8枚目のアルバム『クズの華/t-Ace』がリリースされました。

その先行シングルの一つとして発売された楽曲『ダレもいねえ』が、大きな話題になっています。

ヒップホップは、軽快なリズムとサウンド、そして韻を踏んだ言葉のノリに心地よく身をゆだねてしまいがちです。

でも、深く歌詞を読み込んでみると、実はすごく深いこと言ってる…なんてことも多いんです。

そしてそのギャップがヒップホップの魅力の一つ！

ヒップホップにはメロディに乗せただけでは収まりきらないセンテンスがぎゅっと詰め込まれています。

聞くときは歌詞をしっかり理解しておくと、もっと心に染みてくるはずです。

 今回ご紹介するt-Aceの『ダレもいねえ』も、セクシャルでキラキラしたMVと、どこか自嘲めいた歌詞のギャップが堪りません。

それではこれから、MVの流れと歌詞を合わせて見ていきます。

シーンによって変化するt-Aceの表情にも注目してみてください。きっとその世界観に引き込まれてしまうことでしょう。

半身に大きく目立つタトゥー、金色の短髪、たくさんのゴールドアクセ。とにかくチャラい外見のt-Ace。

MVは出だしから、女の子との絡みで始まります。キレイでスタイル抜群の女の子と、二人の時間を楽しんでいる様子です。

タトゥーが刻まれた背中に這う、女の子の細い指がなんともエロティック。

次のシーンは、リッチなお部屋でたくさんのお酒の瓶と女の子たちに囲まれて、まさにハーレム状態です。

パーティを盛り上げるダンスミュージック、ぶつかるカップの音と女の子たちの色っぽい嬌声が聞こえてきそう！

画面にはお目当ての女の子の腰に手を回し引き寄せるt-Aceが映りますが、ここで歌詞を見てみましょう.

あれ？ ちょっとイメージと違いますね。 女の子とあんなことやこんなことがしたいのに、お酒がないと声もかけれない。

そんなヘタレな自分を「マジでうぜえ」と、自嘲しているようです。

しかし、お酒の入ったt-Ace。いよいよ本領発揮でしょうか。

ずいぶんはっきりと言いにくいことを言うなぁ、という印象です。

でも、大好きな「酒・女・音楽・金」の全部が手中にある今この瞬間に思うのは「明日死んだらやりきれない」ということ。

ここでの死は、いわゆる「喪失」を意味していると思います。

ずっと続くわけがないからこそ、刹那の快楽に溺れる。そしてそんな自分を「オレってくだらねえ」と自覚してるんですね。

このルックスと音楽性ですから、「名前と顔に寄ってきて」はt-Aceのリアルな体験をもとにしているのでしょうか。

馴れ馴れしくされるのは嫌だけれど、実際に突っぱねるわけにいかない…。

ひょっとしたら、そのモヤモヤを歌詞に託しているのかもしれません。

直接的な表現からは、追われるよりも、狙った獲物を落としたい、というハンター体質が垣間見えます。

これはどちらかというと男性に多い特徴と言われていますね。

t-Aceに男性ファンが多いのは、こういう「分かるわー！」という男性目線からの共感も得ているからなのでしょう。