パーティで複数の女の子に囲まれている場面とベッドで一人の女の子と仲良くしている場面が、交互に映ります。
どっちも楽しいからやめられない、ということでしょうか。
今日彼が選んだ女の子も、「今夜、オレのホテルへ」とあるので、もしかしたら一夜限りのお相手なのかもしれません。
さらに「オレ遊んでる」と豪語するからには、もちろん相手にも遊びであることを求めているのでしょう。
それなのに「昼まで寝て、起きたらランチに行こう」なんて言うんです。
これでは、女の子はキュンとしちゃいますよね。
だって、熱い夜が明けて酔いがさめても、もう少し一緒にいたい、ということですから。
放っておけない気持ちになる
サビの最後の部分、「そりゃ大事な時にはダレもいねえ」のところのt-Aceの(しかたがないよな)というような表情に注目です。
自覚しつつも突き放した言い方をすることで、かえって(本当は寂しいのかな?)と女の子に思わせてしまうんですね。
放っておけない「揺れ」や「弱さ」が感じられます。
女の子の敵!みたいな遊び人なのに、モテる人ってこんな感じなんでしょうか。
確かに女って、デキる男に惹かれるのと同じくらいの割合で、ダメな男に惹かれちゃうところがあるかもしれません。
「らしさ」が満載!<2番>
場面は少し変わります。
t-Aceがお目当ての彼女と楽しく話していると、そのわずかな隙間に無理やり別の女の子が入ってきます。
積極的にt-Aceに話しかける女の子。その後ろではつまらなそうにしている、t-Aceのお目当ての彼女…。
それでも彼女が席を立たないのが何ともケナゲです。
オレあの子と話したい
でも邪魔されてばっかり
向こう行けよブスうざい Goodbye
分かってるくせに わざとあの子に見せつけるように
お前にない興味 性格悪い
ケバいしなんだか臭い
セキュリティ呼んでつまみ出す
出典: ダレもいねえ/作詞:t-Ace 作曲:Chiva or BuzzerBeats
ブスだの臭いだの興味ないだのと暴言を吐いていますが、どうやらこれは心の声のよう。
見た目からのイメージだと「お前じゃない」くらいは言いそうなのですが、言えないですのね。
これもt-Aceなりの優しさなのでしょうか。
トドメのフレーズが痺れる!
あの子呼んでオーダーし直す
好きなもんを自由に頼んで
ロマンティックとかオレ無理
少し酔ってきて 君が聞いてきた
いつもこんな遊んでるの?
普段はもっとひどいかも
出典: ダレもいねえ/作詞:t-Ace 作曲:Chiva or BuzzerBeats
邪魔してきた女の子を何とかクリアして、お目当ての彼女とイチャイチャ。
t-Aceの肩越しに見える彼女の顔が幸せそうです。
「好きなもんを自由に頼んで」というフレーズに、まさにt-Aceらしさを感じます。
さらに「いつもこんなに遊んでいるの?」という彼女からの質問に、悪びれもなく「クズさ」を主張!
一人の人、一つのものに縛られずに自由を謳歌したい、そんなスタイルを貫いているのですね。
笑い交じりでトドメを刺すような歌い方をする「普段はもっとひどいかも」の部分が印象的です。
ダメな自分を笑っているのか、遊び相手にされているのに付いてくる女の子を笑っているのか…。
それともそのどちらも、なのでしょうか。
いよいよ、MVはラストシーンへと向かっていきます。
ストーリーが切なく完結<後半のサビ~ラストシーン>
衝撃のラストシーンまでの加速感が切ない
楽曲は後半サビ部分がテンポよく進み、ハーレム状態と、彼女とのイチャイチャシーンが繰り返し流れます。
まるで恋愛ドラマの濃厚なラブシーンを見ているかのような場面が続く中、彼女の手を握り締めたその瞬間、場面は暗転。
暗闇の中その手が握り締めたのは、ただの冷たいシーツでした。
そして目を覚ますt-Ace。
あのキラキラした部屋も、女の子たちの嬌声も、ダンスミュージックやお酒のテンションも、全部が夢だったのでしょうか。
曲は、余韻を残さず断ち切るように終わります。
みんながいたはずの部屋を振り返ってみても、そこにはただ、がらんとした空間が広がっているばかり。
口元をとがらせて何か言いたげに、でも諦めたように冷めた目をして、振り返るt-Aceの表情が何とも言えず印象的です。
このラストシーンで、『ダレもいねえ』のタイトルが胸に突き刺さるような切なさをもって、迫ってきます。
「キケンなオトコ」の吸引力
「最高にクズ!」は誉め言葉
ファッションや容姿、楽曲の内容などから、「チャラ男」と評されることの多いt-Ace。
しかし、歌詞やMVを丁寧に見ていくと、チャラいだけではないことが分かります。
「クズ」を自称しながらも、どこかにもろさや弱さが垣間見えて、そんな危うさが異性の気持ちを捉えて離さないのでしょう。
そして、それはきっと同性の目にも魅力的に映るんですね。同世代や若い男性たちにt-Aceのコアなファンが多いのも納得です。
なによりt-Aceは、自分の魅せ方をよく分かってます。
『ダレもいねえ』のMVに何度も出てくる、程よく鍛えられたタトゥーだらけの体。
野生の肉食獣のように均整の取れた背中は、美しいほどです。