デビュー20周年を締めくくるアルバム「三毒史」
1998年のメジャーデビュー以来、独創性のある楽曲で人々を魅了してきた椎名林檎。
デビュー20周年のフィナーレを飾るのが、5年ぶりのオリジナルアルバムとなる「三毒史」です。
デビュー曲「幸福論」の発売日と同じ5月27日にリリースされたこちらのアルバム。
一体どんな内容になっているのか、簡単にご紹介したいと思います。
アルバム収録曲から紐解くテーマは「人生」
1.鶏と蛇と豚
2.獣ゆく細道
3.マ・シェリ
4.駆け落ち者
5.どん底まで
6.神様、仏様
7.TOKYO
8.長く短い祭
9.至上の人生
10.急がば回れ
11.ジユーダム
12.目抜き通り
13.あの世の門
出典: 三毒史/椎名林檎
毎回シンメトリーなタイトルにこだわる椎名林檎のアルバム作品。
「三毒史」も7曲目の「TOKYO」を中心とし、カタカナ表記のタイトルや道にまつわるタイトル名が対になるようにあしらわれています。
さて、では最初と最後は何が対になっているのでしょう。
ヒントはMVの序盤に出てくるタイトルに隠されています。
後述でも解説している通り、「鶏と蛇と豚」のサブタイトルは「GATE OF LIVING」。
つまり、この世の門を意味しています。
この世の門から始まり、あの世の門で終わる。
要するに「三毒史」とは、“人生”をテーマにしたアルバムとなっているのではないかと筆者は感じました。
タイトルに登場する「鶏と蛇と豚」の関係性
仏教における3つの煩悩
俗に煩悩の数は108と言われています。
その中でも、特に仏教の中で克服しなくてはならないとされているのが三毒と呼ばれるもの。
三毒(さんどく、梵: triviṣa, トリヴィシャ)とは、仏教において克服すべきものとされる最も根本的な三つの煩悩、すなわち貪・瞋・癡(とん・じん・ち)を指し、煩悩を毒に例えたものである。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/三毒
この三毒に見立てられた動物が、曲名にもなっている鶏と蛇と豚。
鶏は「貪り」、蛇は「怒り」、豚は「愚かさ」を象徴しています。
まるで映画!?豪華絢爛なMVをチェック
こちらが「鶏と蛇と豚」のMVです。
物語の舞台となるのは東京。
冒頭から東京タワーが登場し、新宿の目や銀座の時計台、日本橋の麒麟像などが映し出されています。
そこに登場する鶏と蛇と豚。
それぞれの動物たちが繰り広げるパフォーマンスはまるで映画を見ているかのように豪華絢爛です。
それではMVの内容がどんなものになっているのか、詳しく解説していきたいと思います。
現代人の煩悩は仏でさえ止めることができないのか
三体の動物たちの登場とともに消滅する僧侶
般若心経を唱える声と、東京タワーから始まる冒頭。
そして鐘のような音が突如鳴り響きます。
続々と映し出されるロウソクの灯、新宿の目、都内の高層ビル。
ありとあらゆる光が消えるとともに、三体の動物が登場。
私たちの見えないところで活性化していく毒に太刀打ちできないのでしょうか。
徐々にお経を唱えていた僧侶が消滅していきます。
昔からの有難い教えがあるにもかかわらず、それに逆らうようにどんどん膨れ上がっていく三毒。
まるで煩悩にまみれた現代の様子を表現しているようです。