言葉
一切の想いよ、届け
咲いた花よりも、遠く
後悔の想いよ、消えて
吐いた息はもう、透明
いつだって君は全てを包んで
雨のように、風のように優しかった
いつだって君は全てを許して
雨のように、風のように優しかった
出典: ノーベル/作詞:武市和希 作曲:mol-74
歌詞の初めに「花」が登場します。
花については、あとで述べるMVの解説でも触れますが、重要なキーワードといえるでしょう。
「透明」「包んで」「優しかった」「許して」。
これらの言葉はmol-74のサウンドの特徴でもあり、一体となって音の世界を形作っています。
饒舌な歌詞とは対極に位置し、短い歌詞は余計な言葉をそぎ落としたシンプルさがある。
短いだけに、そこに込められたメッセージを聴き手が想像で広げることができるのです。
MV「ノーベル」
映像作家
このMVを監督したのは映像作家の大河臣です。
有名どころではポルノグラフィティ―「フラワー」、安室奈美恵「Final Space」ほか。
これら多くの映像作品のプロデュースやでディレクションを担当してきました。
Shin Okawa (@shino6o6) | Twitter
The latest Tweets from Shin Okawa (@shino6o6). Shin Okawa。大河 臣。映像作家。広告やミュージックビデオ、ライブ演出などなど、映像や空間演出のお仕事をさせていただいてます。 みんなが幸せ、を目指して日々奮闘中。実写、モーション、VFX、どーんとこい。. Tokyo
Twitterには「ノーベル」について少し触れているのでご覧ください。
実験的な試みをやりながら、それと感じさせないところが映像作家としての力量を感じさせます。
それはこのMVにもいかんなく発揮されていました。
映像の色調
ピンク
独特な色合いのMVなのがお分かりでしょう。
この映像は監督の大河臣がTwitterで語っているように赤外線で撮影されています。
昔のカメラ機器は赤外線フィルターを使っていました。
いまのデジタルカメラなら撮影モードで可能です。
赤外線撮影はそのままだと画面全体の色は白が基調になります。
「ノーベル」のMVはその上で、ピンクがかった色合いに調整されています。
だけど本当にピンクなのでしょうか。
桜色
アルバムのリリースは4月3日でした。
時期から考えると桜をイメージしていると見てよいでしょう。
だけど、MVには桜がどこにも見当たりません。
MVを撮影した時点で、桜がまだ咲いていなかったからだと言えば身も蓋もありませんが。
実はピンクと桜色は微妙に違います。
日本では古くから色を表現するのに植物にたとえた名称を付けた例が多い。
浅葱色(あさぎいろ)、若草色、亜麻色といった具合に。
桜色もそうした日本独自の表現です。
赤、青、黄といった欧米由来の原色とは異なり、自然に根差した日本ならではの色感覚があります。
パソコンやスマホの液晶画面で表示される色の三原色はRGB(赤緑青)方式です。
これを数値で表すとピンクがR(247)G(171)B(166)で、桜色はR(254)G(238)B(237)。
つまり、桜色は緑と青が多いためピンクよりより少し深みのある色調になります。
MVの色はデジタル処理しているはずです。
映像を見る限りでは桜色を意識した色調整をしていると思われます。
赤外線撮影ながら人工的な色ではなく、自然で落ち着いた印象を受けるのは桜色がポイントでしょう。
そして、楽器を演奏するmol-74のメンバーとダンサーの衣装が白。
これは、桜色を栄えさせるためのチョイスということになります。