”うつさない”画面とは

画面にはそんなもの映らない
苛立ってしまうのさ

出典: うつらない/作詞:Yuma Abe 作曲:Yuma Abe

ここで言っている”画面”を、TVの報道と考えてみます。

たとえば東京で大雪が降ったら、その事実自体は大々的に取り上げられるでしょう。

でも、その自然のものであった”雪”の経過などは報道されません。

どんな風に街の景色を変えて、どんな風に溶けていったのか。

そんなことは、いちいち取り上げていられないのです。

誰も興味を示さないから。”雪”がどうなったかなんて知っても仕方がないから。

公共交通機関の運行状況や道路情報など。

自分の損得に関わることしか、みんな興味がない。

そしてその時が過ぎ去ってしまえば、誰もが”雪”が降ったことさえ忘れてしまう。

そんな世の中に、どこか苛立ってしまう自分がいるのです。

もう都会は笑えない事態になっている

停止する都市 このままずっと
止まってしまえ 止まってしまえ
そんなことを 考えている
僕は時代遅れなのかな

この都市は いつからか笑えない
苛立ってしまうのさ

出典: うつらない/作詞:Yuma Abe 作曲:Yuma Abe

街の人々の動きは、天候によって大きく左右されます。

特に都会の人は、電車が止まってしまえば仕事にも行けない。

街全体が一時的に動きを止めるのです。

そして”僕”は、「このまま何もかも止まってしまえ」と思い始めます。

街の開発や科学の発展も止まってしまえばいい。

もうこれ以上、今までの暮らしが便利になることなんてない。

進化ばかり追い求めて、いったい何になるのだろう。

でもぼんやりと、時代錯誤な考えであることには気づいています。

確かに発展の裏で、「何か」が壊れているのも事実です。

異常気象も多い、東京にばかり人が集まる。

便利になりつつも、世の中には問題がどんどん増えていきます。

しかし、世間の流れには逆らえません。

少しくらい問題はあっても目をつぶるのです。

多くの人が気にしないことは、なんとなくごまかす。

騙し騙し進んでいく世の中に、もう”笑えない”のです。

映像と歌詞を合わせてみる

結局のところ”うつらない”のは

さて、歌詞を一通り見たところで映像の意味と合わせていきましょう。

映像ではシーズンではないのに”雪”が降っており、誰も気づいていません。

そして、メンバーたちはまるで子ども時代に戻ったかの様子。

MVで”うつらない”のは、人の中にある「無垢な、とりとめのない気持ち」ではないでしょうか?

なんだか随分カッコつけた言葉になってしまったので、もう少し噛み砕いてみます。

大人になっていくにつれて、自分の言動にはどんどん裏が生まれていきます。

自分を守るための駆け引きや損得勘定。

でも子どもの頃は、今よりかは「思うまま」に行動できていたはずです。

誰しもの中にそんな素直さがあるはずなのに、それが大人になると否定される。

他人の顔色を窺って、上手にその場を収める。

本当に思っていることがあっても、言わずに隠す。

しかしそれが、世間では美徳とされているのです。

多少の違和感は無かったことにされる世の中

世の中で良いとされているものに違和感があっても、そんなことはわざわざ人に見せない。

小さな「引っ掛かり」には、気にも留めないのです。

そんな「人に見せない部分」が、そのまま「画面にうつらない」になるのでしょう。

自分は「違う」と思っていても、大多数の意見に飲み込まれてしまう。

ぐっと飲み込める程度の小さな小さな想いが、都会の街に降り積もっているのです。

ただしそれに気がついてしまうと、普通に歩いたのでは足を取られてしまう。

そのため何も積もっていない道路を、わざわざ「スキー板」を履いて歩くのです。

あなたが”うつらない”と思うもの

さて、ここまで歌詞と共に”うつらない”ものを解釈してきました。

こうしてみると、なんてことはない日常を歌っているようで、実は社会を風刺している?

現代人に向けた深いメッセージが込められているのかもしれません。

ここまでの見解はかなり個人的なものなので、本意はどうか分かりません。

皆さんには、このMVに何が「うつっていない」ように見えましたか?

ネバヤンの描く日常をもっと楽しんでみよう

never young beach「うつらない」MV解釈!あなたは”うつらない”ものを感じ取れるか?の画像

日本のシティポップの流れをしっかりと受け継ぐ、never young beach

その魅力がたっぷり詰め込まれた曲がまだまだあります。

他曲の紹介記事をここにリンクしますので、ぜひ一読してみてください。

「西海岸のはっぴいえんど」と呼ばれる理由が、きっと分かります。