『時の流れに身をまかせ』について

【時の流れに身をまかせ/テレサ・テン】人生を捨てても構わない!恋に生きる女性を描いた歌詞の意味を解釈の画像

まず、テレサ・テンの代表曲の1つである『時の流れに身をまかせ』の概要について紹介します。

昭和を代表する歌謡曲

テレサ・テンは出身地である台湾だけでなく、中国や日本などで広く愛された「アジアの歌姫」です。

可憐なルックスとギャップのある憂いを帯びた歌声は多くのファンのハートをつかみました。また、テレサ・テンは抜群の表現力と高い歌唱力も持ち合わせています。

国境を越えて愛された彼女はアメリカのニュース雑誌であるタイムにおいて、「世界7大女性歌手」にも選ばれています。

そんな彼女の代表曲が今回紹介する『時の流れに身をまかせ』です。この曲は1986年にシングルとして発売。

アジアの香りがするオリエンタルで叙情的なサウンドは、日本人にとっても親しみやすい音と言えるでしょう。

また、複雑な恋愛を思わせる切ない歌詞とテレサ・テンが紡ぐ美しいメロディーが涙を誘う名曲です。

今聴いてもその魅力は褪せることはありません。テレサ・テンを聴いたことがないという方は、まずはこの曲から聴くことをおすすめします。

ベストアルバムにも必ずと言って良いほど収録されています。

三木たかし・荒木とよひさのコンビによる3部作の1つ

作詞家である荒木とよひさと作曲家の三木たかしのコンビが手がけた『つぐない』と『愛人』は、テレサ・テンの代名詞とも言えるヒット曲になりました。

そして、『時の流れに身をまかせ』も2人のコンピによって生み出された曲です。

そのため、すべてヒット曲となった『つぐない』『愛人』『時の流れに身をまかせ』は3部作と呼ばれています。

この3曲はどれも素晴らしい曲です。大人の哀愁や一筋縄ではいかない難しい愛が感じられるでしょう。

昭和の香りや許されることのない大人の恋愛に興味がある方は、『時の流れに身をまかせ』以外の2曲もぜひ聴いてみてください。

歌詞の意味を解釈

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次に、『時の流れに身をまかせ』の歌詞の意味を解釈していきます。歌詞の内容を理解すると、この曲がなぜ人々の心をつかむのかがよくわかるでしょう。

報われぬ愛がテーマ

もしも あなたと逢えずにいたら
わたしは何を してたでしょうか
平凡だけど 誰かを愛し
普通の暮らし してたでしょうか

出典: 時の流れに身をまかせ/作詞:荒木とよひさ 作曲:三木たかし

『時の流れに身をまかせ』は、3部作の他の2曲と同じように報われぬ愛がテーマです。簡単に言えば不倫のことですね。

そのような恋愛は、けして「平凡」ではありません。そのため、「あなた」と会わずにいたら何も考えずに普通の暮らしをしていたのではないかと想像しています。

これを逆に考えると、あなたがいない人生など今は考えられないと言っているようにも感じますよね。

あなたの色に染まりたい

時の流れに 身をまかせ
あなたの色に 染められ
一度の人生それさえ
捨てることもかまわない
だから お願い そばに置いてね
いまは あなたしか 愛せない

出典: 時の流れに身をまかせ/作詞:荒木とよひさ 作曲:三木たかし

世間が言う正しさを理解しながらも、あなたと共にいる時間に身を任せています。

人は一緒にいる時間が積み重なれば積み重なるほど、その人の色に染まっていきますよね。これは、カップルや夫婦がどこか似てくるとよく言いますよね。

また、この女性はあなたの色に染まっていくことをうれしく感じているのでしょう。

このような恋愛関係が人にバレれば、昭和の時代は現代以上に批判の的となりました。女性にとっては、消すことのできない罪を背負うことになったでしょう。

あるいは、みんなから祝福される関係になれる誰かと出会うチャンスや時間を失ってしまうことになる可能性もあります。

しかし、人生を台無しにしたとしても、今は愛さずにはいられない相手だと感じているのです。

「そばに置いて」という歌詞は「一緒にいたい」といった言葉よりも慎ましく、あなたを求めてはいけないとわかっているという切ない想いも伝わってきます。

思い出だけでは生きていけない

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もしも あなたに嫌われたなら
明日という日 失くしてしまうわ
約束なんか いらないけれど
想い出だけじゃ 生きてゆけない

出典: 時の流れに身をまかせ/作詞:荒木とよひさ 作曲:三木たかし

自分を愛してほしいという気持ちよりも、嫌われたらどうしようという不安の方が強いのです。それは、明日という日が意味を失ってしまうほどだと感じています。

いつ会えるのかという約束を求めているわけではありません。それで相手を縛ろうとも思っていないのです。

しかし、もう二度と会うことができなかったら生きていけないのです。

待つことはできるけれど、思い出だけで満たされるほど割り切ることもできないと感じています。

未来に希望は持っていないけれど、ある種の信頼があることがよくわかりますよね。