さくらももこが描く、恋と忘れられない夏の思い出
切なくて優しいメロディと、大原さんの大人っぽい歌声が心に染みわたる曲です。
当時20歳を目前にした、大原さんの新たな一面を映し出す一曲にもなりました。
MVで着用されている赤いドレスも、気品のある大人らしさを醸し出していて素敵ですね。
実はこの曲の作詞を手掛けたのは、漫画家のさくらももこさん!
作曲は亀田誠治さんで、かなりのビックタイトルです。
曲は全体的に大人っぽい印象ですが、歌詞は子供のように素直でストレートな言葉が並びます。
読めば「そのまますぎる!」と感じるくらい直線的。
歌詞だけではなく、タイトルも本当にストレートそのものです。
ですが逆に、その言葉の選び方がとてもさくらさんらしいですね。
大人っぽい曲と子供らしい歌詞のギャップが、なんともたまりません。
まだ恋がなんたるかを知らないのに、知ったような顔をする背伸びした子供のよう。
さくらももこさんへのご冥福を祈りつつ、この曲に込められた優しい歌詞を見てみましょう!
映画「ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年」挿入歌
「キミを忘れないよ」は、映画「ちびまる子ちゃん イタリアから来た少年」の挿入歌です。
「ちびまる子ちゃん」の映画としては3作目で、前作から23年ぶりの映画化となりました。
この曲を歌う大原さんはこの映画に声優として出演しているほか、OPも歌っています。
まる子たちが暮らす町に、世界中から6人の子供たちがホームステイにやってきました。
最初は花輪君の屋敷に来ますが、「うちでは日本を感じられない」と考え同級生にステイ先を募集することに。
その中のイタリアから来た男の子・アンドレアは、何故かまる子にものすごい興味を抱きます。
いきなりまる子が好きだと言い、その後も近づいてきては「どうしてキミはまる子なの?」と聞いてくるほど。
尋常ではない興味の強さに、さすがのまる子も困惑するほかありません。
更にはおじいちゃんが、ヒデじいとの友情のためにアンドレアを家に泊めることを承諾してしまいます。
しかしアンドレアが抱えるある事情を知り、まる子は彼のために良い思い出を作ろうと決意するのでした。
「キミを忘れないよ」は映画の後半で流れるのですが、曲のイントロが少しアレンジされています。
実は筆者もこの曲に一目惚れして映画館に観に行ったのですが、かかった途端本当に泣きました…。
この曲が挿入されている夏祭りのシーンは、筆者個人としてもオススメです。
後半を中心に涙目必至なシーンが目白押しなので、映画を観る際はハンカチを忘れずに!
知るには幼い「恋」の物語
映画で描かれるアンドレアとまる子は、まだ10歳ほどの幼い子供です。
恋とは具体的にどんなものなのか、よく分からない段階でしょう。
きっと恋をしていても、それが恋だと気付かないままかもしれません。
それでも相手を想う、優しい気持ちが表現されています。
キミの笑顔を守るために手をつなごう
つないだ手の愛しさが
たぶん恋だということに
まだ気づかない夏の始まり
さあ 手をつなごう
キミの笑顔が
消えてしまわぬように
出典: キミを忘れないよ/作詞:さくらももこ 作曲:亀田誠治
ピアノのイントロと共に歌い出しが始まります。
映画では4行目の歌詞から歌い出しが始まり、より情景的な雰囲気に。
これから夏本番が始まる時期、二人のお別れの時が近づいています。
それを考えたら泣きたくなってしまうだろうから、手をつなごうとするのです。
手をつないでいれば、一緒にいることを実感できる。
一緒にいれば、「キミ」も笑ってくれるだろうと考えたのでしょう。
相手には笑っていてほしいと思っているようです。
「つないだ手の愛しさ」が何なのかは分からないままに。
「キミ」を見つけて
ひまわりのような
女の子を見つけたんだ
楽しいことが たくさん
起こりそうな予感がしたよ
歩道橋の上から
眺めた夕焼けも
教えてくれたキミの夢も
ずっと忘れないよ
出典: キミを忘れないよ/作詞:さくらももこ 作曲:亀田誠治
ある「ひまわりのような女の子」と、初めて出会った時のことを振り返ります。
この「女の子」がすなわち、「キミ」のことです。
主人公にとっての彼女はひまわりの花のように明るくて、可愛らしい女の子だったのですね。
彼女を見て、これから楽しい日々を送れそうだと確信したのでしょう。
一緒に同じ景色を見たり、将来の夢を聞かせてくれたり。
ささやかなことかもしれませんが、主人公にとってはどれも素敵な思い出。
だからこれから「キミ」とお別れしても、その思い出を忘れずに持っていることを決意するのです。
キミが泣かないように手をつなごう
つないだ手の温もりが
思い出になることさえも
まだ気づかない
夏の始まり
さあ 手をつなごう
キミの涙が
こぼれ落ちないように
出典: キミを忘れないよ/作詞:さくらももこ 作曲:亀田誠治