夏に見たのは実在しない人だった
寒くなる迄知らないで愛してしまった
今頃になってから「全部演じていた」なんて
受話器越しに泣かれたってこっちが泣きそう
出典: 警告/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
元カレに対するやるせない気持ちと、怒りにも似たような気持ち…。
総じて「残念な気持ち」が滲み出た一節となっております。
そこにかつて、「相思相愛」というものは存在しませんでした。
こちらは信じ続けていたというのに、向こうは演技だったという告白。
それもよりにもよって、こちらが生業で売れてきたこのタイミングでのカミングアウト。
女性側の心理としましては、「何か裏がある」としか思えません。
こちらの人脈や金銭を狙っての発言でしょうか。
成功した女性と交際をしている(していた)という地位を求めてかもしれません。
涙を流しながら、男性はどんな決め台詞を持ちかけて復縁を求めたのでしょう。
彼の心の裏での「あたし」の存在意義は、いい女?それとも、「都合の」いい女?
これまで費やしてきた時間や信頼関係の崩壊。
愛してくれる人は実在などしなかった。
しかし、確かに誰かを愛しているひと時が実在していた。
さまざまな事実と感情が入り混ざっていることがうかがえます。
救いを少しは求めてみたけれど
此の海を又訪れ 思い出そうと歩く
波を止めることよりは た易いと感じるのに
あたしの気持ちは何処に行ったって戻らない…
出典: 警告/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
歌詞に出てくる「海」というのは元カレとの思い出の場所なのでしょう。
このタイミングで敢えて自分1人で行くということは、わずかにあり得る復縁の可能性を求めたのかもしれません。
2行目の内容は、どう考えても現実的に絶対に不可能であること。
それと比べたら、「復縁する」という選択肢は可能であるように思えてきます。
しかし実際に海を歩いてみると、気持ちが変わる兆しは一切見えなかったようです。
多種多様
「嘘はつき つかれるもの」 あなたはそう笑うが
間抜けなあたしをはじめ 不可能な人種も居る
上手く前に進めずに不器用に倒れるなら
起き上がる道具ひとつ 持たないで死んで行くわ
殺意だけ仕舞ったら あたしは最後のいま
「機械の様に余り馬鹿にしないで」って云いたい…
出典: 警告/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
「何でわざわざ演じていたの?」
このような問いかけをした上での、この歌詞の1行目のような返答でしょうか。
「人間はみな、〇〇する」といったような身勝手な法則なんてまっぴらごめん!
なぜなら、すでに「あたし」は嘘をつけない愚直で馬鹿正直な人間だから。
きっと稀有で「例外」といわれる存在だけれども、それでも人間ということに変わりはありません。
YesはYes、NoはNo、これも立派な答えですし、生き方なのです。
単純な機械とは同じにしないでという思いにも納得がいきますね。
元カレに反撃しながらも、どこか哀愁感漂う彼女の姿…人間味がとても出ています。
「警告」はどのCDに収録されている?
本曲「警告」はシングル曲としてリリースされておりません。
1stアルバム「無罪モラトリアム」にアルバム曲として収録されています。
何とこのデビューアルバムがリリースされたのは1999年、すなわち20年も前になるということですね。
今となれば「機械」といわれるとAIなどのように複雑なものもたくさんあります。
1999年当時といえばスマホもSNSもない時代、「機械=シンプルなもの」という印象でした。
こうやった時代背景も把握した上で改めて歌詞をみてみると、時の流れというものを感じますね。
LIVE音源で感情が爆発!
まさに本アルバムがリリースされた1999年のLIVE音源を発見しました。
舌の巻き方といい、声といい、やり場のない怒りやもどかしさが爆発したような歌唱です。
歌詞の意味を理解した上で今一度聴いてみてください。
作詞作曲した当時の感情が収まらぬまま、ストレートに表現されているように思われます。
馬鹿にしないで!
いかがだったでしょうか。
曲名「警告」というのは、元カレに対する「あたしのことを馬鹿にしないで!」という意志表示なのかもしれませんね。
華々しいデビューアルバムからこんな刺激的な楽曲をぶつけてくる林檎様、さすがとしか言いようがありません。
近年はさまざまなアーティストとコラボするだけでなく、オリンピック関連にも携わるようになった彼女。
そんなカリスマ、椎名林檎をこれからも応援していきましょう!
この記事によって少しでも「警告」についての理解や共感を得ていただけますと幸いでございます。
最後までご覧いただきまして、誠にありがとうございました!