片想いしている間は、彼のことを王子様のように見上げていたのでしょう。
好き嫌いなどない素敵な男性だと思い込んでいたのです。
しかし、いざ付き合い始めると彼は思っていた性格とは違っていました。
でも、「こんなにわがままだったんだ…。」と途方に暮れているわけではないようです。
知らなかったことがたくさんあって、それを一から知っていくのですから。
「あなたのことをこうやって少しずつ知っていくんだな。」と、そこにも幸せを感じるのです。
こんなことが好きなのか、あんなことが嫌いなのかと発見するたびに、喜びを感じてしまいます。
例えそれが彼の悪い一面だとしても、彼女はそれを発見することがうれしいのです。
トマトが好き、キュウリが嫌い、茄子も嫌い。
なんだ好き嫌い多いんじゃん!と思っても、彼のことを嫌いになれるはずがありません。
むしろもっと好きになってしまうのです。
二人を幸せにする小さな発見
「そんなことも言うのね。」と、新しい発見がある限り、二人の幸せな関係は続いていくのでしょう。
お互いのことをよく知ることで、良い関係が築けることは言うまでもありません。
よく知るには、お互いに同じ時間を過ごすことで1つ1つ発見していくことしかありません。
付き合う前は、そして片想い中の時には決して発見できない彼の本性。
同じ時間を共有しながらコミュニケーションを重ねていくことで、1つ1つ暴かれていくわけです。
それでも嫌いになんてなれやしない
それでも繋ぐこの右手は
ただぎゅっと力を込め握っても
隙間ができる程勝てやしない大きさで
愛しくて 愛しくて
幸せを噛み締めてる
出典: 幸せ/作詞:長屋晴子 作曲:長屋晴子
彼の本性を知った彼女は、やはり彼のことが好きでたまりません。
心の中の彼の存在は、圧倒されそうなほどに大きかったのです。
「やっぱりあなたには勝てない。」
彼がわがままだと知った今、彼女はその手を離すかな?
と思いきや、その手をさらに強く握りしめました。
彼が好き嫌いが多いこと、わがままなこと、全てをひっくるめてダイスキなのです。
「この幸せが、どうか永遠に続きますように。」
そうは願ってみるものの、なんとなくたちこめる別の感情があります。
それはなんともいえない切ない感情。涙がこぼれそうになる不思議な感覚です。
永遠の幸せを願う彼女は、これからのことが不安になり、切なくなってしまったのかもしれません。
よく考えてもやっぱり幸せ
ここからなんとなく感じる不安に打ち勝とうとする主人公の姿があらわれます。
二人の幸せの行方は?歌詞の解説を続けます。
二人の影を見て思うこと
2人で開けた重たいドアから
差し込んだ白い光がずっと永く伸びて
足元を照らし続けてくれる
私たち 大丈夫だね
本当にそう思ったの
出典: 幸せ/作詞:長屋晴子 作曲:長屋晴子
ふと我に返り、二人の関係をじっくりと考えてみようと思う主人公の姿がイメージできます。
しかしドアを開けた瞬間に不安は消え去りました。
「二人はこの先ずっと一緒にいられる。」
一緒にいることで、ときには喧嘩をしてどうしようもなくなることもあるでしょう。
それでもなんとか一緒にやっていけると、自分たちの影を見てそう思ったのです。
もしかしたら、明るい日差しに照らされて影がぴったりと寄り添ってみえたのかもしれません。
主人公は、彼の後姿をずっと眺めていました。
きっと彼の陰は、毎日同じ道を通るたびに見てきたはずです。
彼の陰は見慣れてはいても、今までは隣同士で映ることもなかった影。
それが、現実の世界で隣同士ぴったり並んで映っているのです。
きっとその影は、とても幸せそうに見えたのでしょう。
そんな影を見て、主人公の彼女はまた小さな幸せを見つけました。
もう離れない。
信じられないけれど確実に横にいる彼を見て、そう誓ったのでしょう。
どうかこのまま…!
少し前の私と話が出来るなら
必ずその手を離さないでと
口を滑らせてしまうと思う
出典: 幸せ/作詞:長屋晴子 作曲:長屋晴子
過去の自分と会話ができたら口を滑らせてしまいそうなこと。
そのひとつは「こんなことってある?」でした。
彼と付き合い始めたあと、最後にもうひとつ言ってしまいそうな言葉ができました。
「絶対にその幸せをはなしちゃいけない。」
はじめは口を滑らせる言葉は何なのか曖昧だったのですが、最後にはハッキリとしました。
それは、彼女の気持ちもまたハッキリとしてきたからかもしれません。
「その幸せを、どうかしっかりとつかんで離さないで。」
ここでは、口を滑らせるというよりもアドバイスしている感じに変わりました。
このかけがえのない瞬間を、逃してしまうことがないように切に願ったのです。