1曲を通して成長してゆく「あたし」の存在
大人になることへの心情の変化
希望の先にある
憧れに手を伸ばせば
明日だって手さぐり見つけるよ
散りゆくから美しいという
意味がわかってきた
ごめんね
もう少し
大人になるから
出典: fight/作詞:YUI 作曲:YUI
サビを通り越して2度目のAメロの歌詞を見てみましょう。
最初は大人になりたいと歌っていた主人公の「あたし」。
2度目のAメロでは歌詞の最終行のような表現に変化しています。
なぜでしょう?
それは「あたし」が現実を受け入れることで少しだけ大人になったからです。
いつか散ることの美しさは桜の花を想起させます。
桜は古くから日本人にとって人生観・死生観を映し出す鏡のような存在です。
「あたし」は人生は短く儚いということを知ったのでしょう。
いつの日か懐かしくなるよ...
いつか振り返る時
今日の若かりし日が
きっと懐かしくなるから
出典: fight/作詞:YUI 作曲:YUI
2度目のサビを過ぎて歌われるCメロに入ります。
YUIさんの歌はCメロの旋律が美しいことでも有名ですね。
ここで主人公である「あたし」は若かりし日を思い返しています。
過去を振り返るということは年齢を重ねたということ。
つまり「あたし」は人生の儚さを知りついに大人になったのです。
そしてここで語りかけるのは中学生だった頃のかつての「あたし」です。
ここまでサビをスルーしながら解釈してきた理由はここにあります。
「fight」の主人公の「あたし」は1曲を通して3つの過程で成長するのです。
そしてサビの回数も同様に3回あります。
「fight」のサビは歌われる過程で少しずつ意味を変えてゆくということなのです。
歌われるたびに意味を変えてゆく「頑張れ」
現実を知った自分にエールを送る
頑張れ頑張れ
命燃やして
続く現実
生きてゆく
頑張れ頑張れ
限りある日々に・・・
花を咲かせる
出典: fight/作詞:YUI 作曲:YUI
ようやくサビの検証に入りたいと思います。
高らかにエールを送る1回目のサビ。
ここで主人公である「あたし」はまだ未成熟な子どもですが1つ分かったことがあります。
大人は子どもに夢を見ることの大切さを教えてくれるけど...。
子どもは大人をよく観察して育ちます。
大人は本当に夢をみているのかな?夢が叶うって本当?
最初のサビで鼓舞している相手は現実を直視することに怯えてしまった自分自身です。
そして最後のフレーズは儚い人生の大切さを表現しています。
短いからこそ悔いのない人生を送りたい。
今の努力は思い描いている形では報われないかもしれません。
しかし頑張らずに後悔を残すことだけはしたくない。
だから「あたし」は自らにエールを送るのです。
綺麗ごとでは語れない人生
頑張れ頑張れ
勝ち負けだって
本当は大事なことなんだね
頑張れ頑張れ
そうさ人生は引き返せない
出典: fight/作詞:YUI 作曲:YUI
1度目のサビで悔いのない人生を送りたいと自身を鼓舞した「あたし」。
必死に頑張ることで成長を遂げました。
人生は短いからこそ美しいということを知ったのです。
同時に2度目のサビの前を振り返ってみましょう。
人生の手綱を握るのは「あたし」自身だと気付くことでたくましくなっていたのではないでしょうか?
そして2度目のサビでもう1つの事実に気付いたのです。
人生は勝ち負けじゃないと誰かがいっていました。
しかし悔いのない人生を送るためには綺麗ごとは通用しないのです。
だからもう1度自身を鼓舞します。