歌詞の始まりは、生まれた意味について疑問を持った様子がうかがえます。
人間はこの世に生まれてから、多くのことを学んでいきます。
そしてその学びは、人間の成長に合わせてどんどん深いものになっていく。
勉強で例を挙げれば、始めは足し算や引き算を勉強していたものが、方程式といった難しいものになったり。
学びが深くなればなるほど、なんとなく深い考えができるようになっていくような気がします。
しかし、こんな人間の成長も一定のラインまで達すると、いろいろ考え始める時がくるんです。
「なぜ私は生まれたんだろう」「生まれた意味はあるのかな」というように。
これはそれだけ物事を掘り下げて、考えられるようになったという証拠でもあると思います。
ですがその様子は、行く当てもなく彷徨う「迷子」のようにも捉えられるかもしれません。
逃避の心
最近よく戻りたくなるよ 産道通って還りたくなるよ
でっかくなって戻ってきたよと 言って
探したって居場所はないよ そんなもんどこにもない
ここにあるのは見渡す限りの 宇宙だけ
出典: DUGOUT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
「迷子」になってしまった時、きっと人間は安心できる場所を探します。
安心できる場所、皆さんはどのようなところを思い浮かべるでしょうか。
人によっては、それは自分がまだ知らないところにもある、と思う方もいるかもしれません。
しかし、多くの方は過去に経験したことのある場所、それが安心できる場所と思うのではないでしょうか。
つまり安心できる場所を探すことは、戻りたいと思うことと同義とも言えるのでしょう。
ですが戻りたいと思っても、そういう場所には戻れないことの方が多いんです。
だからそれに気付いた時、目の前に広がる状況や環境は“宇宙”のように思えてしまうもの.....。
孤独感
この広大な世界の真ん中に
この小さな社会の隅っこに
置き去りにされたこの身の
やり場を知る術もなくて
迷子と迷子が擦れ違うたび 一つ、また一つと道は増えて
入り組んでゆくだけの迷路を 誰かがふと世界と呼んでみたんだ
「あっち行こうよ」「こっちに行こうよ」「あっち行けよ、こっち来るなよ」
「それならばあっちにいこうよ ねぇそうしようよ」
出典: DUGOUT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
その“宇宙”の中にいると、人間は孤独を感じてしまうはず。
自分が過去にいた場所にはもう戻れないんだとわかった途端から、宇宙はどんどん広がってしまうんです。
そして広がれば広がるほど、比例して孤独感も増していく。
「どうしたらいいのかわからない」そんな感情を抱くかもしれません。
そんな感情であればその先進む道だって、どう進めばいいのかわからなくなり、葛藤することもあるでしょう。
勝者と敗者
迷子が出した答えの数だけ道ができた
道が交ったとこに諍いが生まれたんだ
いつだって勝者の遺した言葉が歴史になった
そう僕みたいな敗者が残した言葉なんか
けむに巻かれてゆく 流れてゆく 葬られてゆく
出典: DUGOUT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
この世には“勝者”と“敗者”が存在しますね。
身近な言葉で言えば「勝ち組」と「負け組」。
何かで比較した時、基本的には優劣が出てきます。
その結果、勝者になるか敗者になるか決まってしまう。
そして、このどちらの存在になるかで、人生がどのようなものになるか変わってきたりも....。
テストの結果が、30点だった人と80点だった人がいたとします。
そしてもう1人、点数が50点だった人がいたのなら、2人のうちどちらに勉強を教えてもらおうとするでしょうか。
きっと点数が高い、80点の人に勉強を教えてもらおうとするはずです。
理由は簡単、点数という比較で勝者になったから。
いつの時代もこんな風に、敗者は勝者の陰に隠れてしまっているのかもしれません。
人生の価値
毎日何かを食べてまで しがみついているこの世界に
殺めた命に見合うだけの 価値が 意味が
あるとは到底思えるはずもなくて
超えてきた日々揺らいだとて
建てた誓いが明日を閉ざしたとて
慰めだろうか罰なのか
時は流れを速めるの
出典: DUGOUT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
今生きている世界への想いが書かれています。
迷子のように広い宇宙を彷徨い、勝者の前では影のような存在になってしまう。
人生の価値を考え始めれば、もしかするとマイナスなイメージになってしまいがちかもしれませんね。
正しかったこと、偉かったと言ってもらえること。
これらをたくさんしてきたと確信していれば、マイナスなイメージにはそれほどならないかもしれません。
ですが人間の多くがこれまで生きてきて、失敗や後悔を幾度となく経験してきたはずです。
そんな経験の数々が人間を、答えのない世界へと連れて行ってしまうんでしょうね。
考え方
何言われようが その手その脚縛られようが
その脚が向いた方が いつ何時だって前になんだ
前倣えって言われようが 気づいたらビリになっていようが
後ろ振り返ってみりゃ ほら先頭にブッチギって立ってるんだ
出典: DUGOUT/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
生きている中で経験した、迷子。
実はこれって考え方の問題なのかもしれない、そう思える歌詞です。
もともと迷子と言えるだけの正しい道なんてないのかもしれません。
先が見えないと思いながらも、確実に1歩ずつ進んできたその軌跡、それが正しい道を進んでいる可能性だってありますから。
暗闇にいると感じている時、それは1方向しか見えてないということ。
暗闇だと思っていた場所も、少し見ている方向を変えてみれば、明るい陽射しが差し込んでいるのかもしれませんよ。