意地をはるやら 無茶もした
好きゆえ甘えた わがままでした

出典: おもいで酒場/作詞:久仁京介 作曲:四方章人

彼女と彼の恋はどんなものだったのでしょうか。

独りでお酒をゆっくり、のみながら彼女は昔を悔やんでいるようです。

「もっと上手く甘えられたらよかったのになぁ。」

と心の声が聞こえてきそうです。

独りでお酒をのみにいくような、自分をもった気丈夫な女性のように感じます。

それゆえ、甘えるのは苦手なようですね。

そしてそんな自分はダメな女だったと嘆いているのではないでしょうか。

そんなに自分を責めないで!と隣にいたら慰めてあげたくなります。

彼女の生真面目さが垣間見えます。

熱いおもいで

ふたり一つの 命だと
ぎゅっと抱かれた 背中がうずく

出典: おもいで酒場/作詞:久仁京介 作曲:四方章人

彼に抱きしめられた感覚が、お酒の酔いとともによみがえってきます。

それくらい、彼のことが恋しくなってきているのです。

独りでのみ続けるのが辛そうにみえます。

あの時の熱く愛し合っていた記憶が、彼女を酒場から遠くの場所へ連れていってしまったようです。

背中に彼の感覚が戻ってくるほどありありと、彼のおもいでに浸っているのだと思います。

お酒の量は僅かでも、こんなに記憶の世界で楽しむことができるなんて素敵ですね。

しかし、楽しんだのも束の間、彼女にその揺り戻しがくるのです。

罪なひとです ひとり酒

出典: おもいで酒場/作詞:久仁京介 作曲:四方章人

彼女は、いなくなってもなお彼女の心を揺さぶる彼を憎らしく思っているのではないでしょうか。

しかし見方を変えると、彼との恋があったからこそ独りでお酒を愉しめることができたのではないでしょうか。

なので100%嫌な奴と彼を決めきれないところが、より憎らしいところなのだと思うのです。

彼が、たくさんの喜怒哀楽を彼女に与えてくれたからこそ、今の彼女がある。

その彼に感謝しつつ、自分を捨てて幸せになっていく彼への嫉妬心も心の底で感じているのでしょう。

わかっているけど

女の意地

紅(べに)も薄うすめに 描(か)いてます
誰かに好きだと 云われたくない

出典: おもいで酒場/作詞:久仁京介 作曲:四方章人

彼女は、もはや自分には恋人のいない独り身であることは十分に理解しています。

でも何事にもどこかで期待してしまうのが、人間の逃れられないといっても良いでしょう。

彼女はまた彼に出会える日をどこかで望んでいるのではないでしょうか。

どうしてかというと、彼女はある目的のために化粧を薄くしているからです。

その目的とは、他の男性に好意を持たれないようにすることなのです。

それはどうしてでしょうか。

きっと彼との恋が復活することを、どこかで見ているのかもしれません。

私の弱さ

もしや暖簾(のれん)を 撥(は)ねあげて
あなた来るなど 夢にもないが

出典: おもいで酒場/作詞:久仁京介 作曲:四方章人

彼とのおもいでの居酒屋で、彼女の夢想は深まっていきます。

時が経ちお酒をのむにつれ、彼女は夢の世界へ旅立っているのではないでしょうか。

もし彼が今このお店にやって来たら、と彼女の願望は想像の翼を広げています。

お酒は人を正直にさせるようです。

彼女はこんなにも彼のことを求めていたのですね。

強く愛している人を、自分から身を引いて別れてしまった彼女。

全てが幸せにまとまるのであれば、それでよかったのかもしれません。

でも彼女の心だけが独り取り残され、酒場を彷徨っている姿はなんともせつないです。

バカねおんなの 名残り酒

出典: おもいで酒場/作詞:久仁京介 作曲:四方章人

今、他人から彼女をみたら「哀れだね。」の一言に尽きるのではないでしょうか。

最初から、身を引かないと愛せないような人を好きにならなければよかったのに。

彼女にそうつっこみたくなる人もいるかもしれません。

でも結果から逆算して人を好きになる人はどれくらいいるのでしょうか。

お見合いのように、結婚を前提にということなら目的にあった相手を効率よく選ぶことでしょう。

しかし、こと恋愛においては好きになってしまったから仕方ない。

という諦めの方が多いかもしれません。

そんなことを思いながら、彼女もお酒をのんでいたことでしょう。