「素人」は、主人公の不器用な側面を表現しているのだと思います。

「プロ」は、感受性が強くて繊細で敏感という、心理的な特徴を捉えているのだと思います。

そして後半のフレーズ。

交差点の中心で寝るとどうなってしまうでしょうか?

簡単に想像がつきますね。

車にひかれてしまう可能性があります。

しかし、道路の上でゴロゴロと横たわる猫を見ると、何だか気持ちよさそうな印象すら感じることも。

開放的で危険と隣り合わせで…そんな印象を受けるフレーズだと思います。

この楽曲の主人公は解放されたい想いや自暴自棄な心情に溢れているのでしょうか?

沈みきった心

好きな人としか 悲しめないよ
黒い誰かに言われて 目覚めるいつも
好きな人として 残りたかった
でも、後悔ないもの

出典: イキツクシ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

好意を寄せる相手との距離感が読み取れます。

両想い…ではなさそうですね。

好きな人のことを求め、呆然と彷徨っている印象を受けます。

そして、夢の中でうなされるほど気分が沈みきっているのでしょう。

これだけ聞くと何だか心配になってきますね。

それでも主人公は「後悔」していないといっています。

苦しい状況でも相手を責めず自分をしっかりと持っている様子…。

責任感のある真面目な女性像が読み取れるのではないでしょうか?

「イキツクシ」が表現しているもの

サビに込められた意味に迫る

取られても 取られても
行き尽くした気がするのよ
あたしは大丈夫だから
もう終わりにしない?
流石だわ 流石だわって声が聞こえたけれど
そんな大層な人生じゃなかったわ 笑って

出典: イキツクシ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

サビに入りました。

Bメロから「Ah~取られても」と繋げて歌い上げるのが、グッと心を掴まれますね。

さて、冒頭でも取り上げた意味を解釈していきましょう。

「主人公が片思いを続け、それが叶わず精神を消耗している」のがここまでで読み取れました。

取られたのは主人公の中に溢れる「愛のエネルギー」。

抽象的な表現ですね。

愛情って一方的に他人に与えすぎると「空っぽになってしまう」気がしませんか?

人によっては自分を愛する力が強かったりもします。

そうじゃない人は、愛し愛されることでバランスを保つのではないでしょうか?

主人公は一方通行の恋を続けることで、愛を奪い取られてしまったのです。

愛を失った心は支えなしに無理に立っているような状態。

もう倒れる寸前なのに、力を振り絞って生きているのです。

そのため、ここで「何を」終わりにさせたいといっているのか、2つの解釈ができます。

1つ目はあなたとの苦しい関係性。

2つ目は、一方的な愛しか向けられない不器用な自分の人生。

無理に力を振り絞る頑張り屋さんな主人公。

責任感が強すぎて、周りからも必要以上に「強い女性」と評価されてしまうのかもしれません。

でも心は悲鳴を上げている。

上手に諦めたり助けを求めることすらできない、不器用で真面目で優しすぎる人柄なのです。

口に合わない食べ物のよう

チョコレートの甘ったるい思いを
受け止めて わたしなりに飲み込んだ
ああ 不味かった 食べなきゃ良かった
こんなことばかり
でも嫌いじゃない

出典: イキツクシ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

甘いものって中毒性がありませんか?

特にチョコレート。

作業中とかについつい挟みたくなります。

この楽曲で食べた「あなたからの愛情表現」というチョコレート。

必死に主人公は受け入れようとしましたが、何かが合わなかったようです。

恋愛における相性の不一致は「苦手な食べ物を食べること」と良く似ていますね。

無理に食べても好きになれる訳でもないのです。

愛で味覚が変わる訳ではありません。

大好きな相手なのになぜか噛み合わない…それを「ご縁」と表現したりします。

主人公の好きな人との関わりは、何かがすれ違っていたのでしょう。

解き放ちたい

光を見せて 虚無を見せて
溢れるものを 引っ掻けば
私も変われるのかな
プライドが 邪魔をするの
ねえ もっと見せて?

出典: イキツクシ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音

ここまで歌詞を読み解くうちに見えてきた主人公の人柄を振り返ってみましょう。

主人公が相手に怒りをぶつけたり、ヒステリックになる場面はありませんでした。

ネガティブな感情をグッと自分の中に押し込んでしまうような…つまり「感情を抑制」しています。

前半のフレーズを見てみましょう。

「光」はポジティブな感情、「虚無」はネガティブな感情を表現していると解釈してみました。

「喜怒哀楽をもっと表現できるようになれば、何か変わるのかな?」

そんな意味合いの発言なのだと思います。

感情に蓋をするのは「プライド」の仕業といっていますね。

しかし、主人公から自分を大きく見せたり意地を張る印象は受けません。

傷つくことを非常に恐れているのではないでしょうか?

自分を守るために強いバリアをはっているイメージです。

強く振る舞うほかなかった

※繰り返し

取られても 取られても
行き尽くした気がするのよ
あたしは大丈夫だから
もう終わりにしない?
流石だわ 流石だわって声が聞こえたけれど
そんな大層な人生じゃなかったわ

出典: イキツクシ/作詞:川谷絵音 作曲:川谷絵音