ANARCHY【Where We From feat. T-Pablow】歌詞解説！地元をどう思う？

一方のT-Pablowもおおよそ似たような少年時代を過ごしています。

小学生の頃から喧嘩に明け暮れた彼の教科書は高橋ヒロシの「クローズ」でした。

ニグロパーマ、長ラン、タートルネックにエナメルベルトという典型的なヤンキーファッション。

昔からの友人のG-K.I.Dの父親がいわゆる“本職”だったことから将来の道もそちらに決めていたそうです。

しかしこの1行目のフレーズはANARCHYの曲から学んだ美学だとT-Pablowは語っています。

ラップで相手を打ち負かせば余計なイザコザは起こりません。

そして大切な仲間や家族を危険から守ることもできるのです。

それでも嫉妬で仲間を襲う人がいれば....。

彼らは再び地の底に落ちる覚悟も決めているのです。

『Where We From feat. T-Pablow』のMVのラストシーン。

2人はビルの屋上から東京に広がる夜景を眺めていました。

しかし彼らが本当に見つめていたのは愛する地元の家族と仲間です。

2019年春にとあるテレビ番組が大阪の某所を貶める発言をしたことが話題になりました。

どんな街にも少なからず「闇」は潜んでいるのです。

その「闇」から逃げることなく正面から向き合った人だけが地元の「闇」について語る資格を持っています。

ANARCHYは向島団地、そしてBAD HOPは川崎南部の「闇」の証人です。

そこには憎しみも哀しみも乗り越えた末の「愛」が存在します。

だから彼らの地元はファンにとって聖地となりえたのです。

そこには勝ち負けなど関係ないのでしょう。

今回はANARCHYの禁断のコラボ曲『Where We From feat. T-Pablow』を紹介いたしました。

子どもには生育環境を選ぶ権利も力もありません。

しかし地獄のような環境でも大切な「何か」があれば誇り高く生きることができるのです。

ANARCHYにとってのそれは「血の繋がらない家族」から教わった温もり。

そしてT-Pablowには「鎖で繋がれた仲間」と「先人が切り開いてくれたチャンス」がありました。

教科書が教えてくれない大切なことを教えてくれる歌。

それが『Where We From feat. T-Pablow』だったのです。

貧困に苦しむ若い世代の希望への道標として存在するANARCHYとBAD HOP。

少年時代のANARCHYにも心の支えにしていた大切な楽曲がありました。

それが彼の肩に刻まれたTHE BLUE HEARTSの『チェインギャング』です。

ANARCHYがこれ以上ない覚悟でカバーした『チェインギャング』。

その解説記事を併せてご覧ください。

日本中のヒップホップリスナーが打ちのめされたBAD HOPのキラーチューン。

それが『Kawasaki Drift』です。

T-Pablowの歌うパンチラインは間違いなく日本語ラップの歴史に刻まれたことでしょう。

こちらも解説記事をぜひご覧ください。