気持ちが既に「恋人」

あなたがいま望むなら、いますぐ強く抱きしめたい奪ってしまいたい、
どうして困らせるほどつのる想いはただ僕には泣きたいくらい恋人

出典: 恋人/作詞:西尾佐栄子 作曲:松尾清憲

曲が盛り上がるサビの部分は、「僕」の率直な思いが表されています。相手さえ望むなら強く抱きしめ、奪いたい。少し乱暴な言葉が、募っている想いをありありと表現しています。

また、「困らせるほど」や、「泣きたいくらい」という表現は、感情があふれて自分ではコントロールできない状況にまで追い詰められている様子がわかります。

そして、最後の「泣きたいくらい恋人」これは、実際には恋人ではないものの、もうすでに心の中では恋人であるという、はやる気持ちを表しているのでしょう。

片思いの関係を示唆

強がってみせる友達のままで
みつめている僕にまで

出典: 恋人/作詞:西尾佐栄子 作曲:松尾清憲

友達のままみつめている、という描写がついに現れました。恋人になれない理由は、友達のままでいましょうという関係だからと推察されます。

ただ、「僕」の方は、恋人になることを望んでいます。そんな片思いの恋愛であるという背景だからこそ、この曲は切ないのですね。

美しく繰り広げられる歌詞

想いをいま届けたいこの街角で
抱きしめたいかわらない強さで
あなたをいまみつめてる
この先ずっと
ただ誰より瞳きれいな恋人

出典: 恋人/作詞:西尾佐栄子 作曲:松尾清憲

恋をすると相手のことが美しく見えます。「誰より瞳きれいな恋人」というのは、この「僕」目線での女性の描写。この美しい歌詞からも、すっかり恋に落ちてしまった「僕」の様子が理解できます。

誰もが経験する片思いの心理

「恋人」の歌詞が共感を呼ぶのは、誰もが経験する片思いの心理を迫る言葉でつづっているから。愛している相手に愛されない切なさや寂しさは、誰もが感じたことがあるのではないでしょうか。

そして、相手を愛おしく思う気持ち、相手を美しいと思う気持ちが切実に率直に描かれていることが、人々の涙を誘う最大の理由なのです。

涙の理由は歌詞だけじゃない

また、「奪ってしまいたい」とか、「泣きたいくらい」といった少々荒っぽい言葉が胸に迫るのは、鈴木雅之さんのソウルフルな歌声のせいもあるでしょう。

線の細い声で歌うより、魂や心がこもった力強い男性の声で歌う方が、荒っぽい言葉に臨場感が出ます。

さらに、切なさを感じさせやすいドラマチックなマイナー調のメロディー、郷愁を誘うアレンジや楽曲のコード進行なども、この曲の世界観を演出するのに重要な役割を果たしています。

まとめ

いかがでしたか?1993年のヒット曲「恋人」について、この曲がなぜ切ないのか、涙が出るのかといった視点で、歌詞に注目してご紹介いたしました。

荒っぽい言葉を使った強いメッセージ性のある歌詞、鈴木雅之さんの魂がこもった声、切なさを感じさせるドラマチックなメロディー、郷愁を誘うアレンジ…

全ての要素がこの曲の情感を盛り上げ、世界観を演出することに直結しているんですね。

この曲がリリースされてから20年以上が経過していますが、今一度「恋人」を聞き直してみてくださいね。自身の片思いの記憶に照らし合わせて涙がホロリ…と出てしまうかもしれません!

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