主人公は彼女を思い出そうとしますがよく覚えていません。
でも、あの時の捉え難い衝撃が身体に記憶として残っています。
主人公は彼女の顔だけでなく、彼女に出会うまでの時間と全ての物事を確認し記憶を手繰り寄せます。
それでも記憶はバラバラになり、彼女の顔はモンタージュのように部分の継ぎはぎでした思い出せないのです。
とても曖昧な記憶ということがわかります。
恋をするということは、何か完全な一部分を好きになることではないのかもしれません。
あの日あの時の全てが、断片的ではあっても身体には刻まれていることがわかります。
からかわれて
冷やかし半分の
友達の取り調べに
よけいにうまく行かない
君のモンタージュ
出典: モンタージュ/作詞:Noriyuki Makihara 作曲:Noriyuki Makihara
洋服を一緒に買いにいった友達は、主人公をどう思っているのでしょうか。
「そんな一瞬で好きになったの?すごくない?そんなかわいい子?」と盛り上がったはずです。
でも、主人公は友達には報告しておかなければなりません。
彼女に関する、なにか有力な情報を教えてくれるかもしれません。
ここまでで、彼女がどこの誰なのか彼氏はいるのかさっぱりわからないのですから。
「取り調べ」という言葉が、モンタージュの彼女を指名手配犯に例えています。
でも根掘り葉掘り訊かれれば訊かれるほど、彼女の記憶は散っていきうまく説明できません。
他人に喋ると陳腐になってしまうのも、恋の特徴ではないでしょうか。
主人公の心の動揺が感じられます。
安心の理性
苦手なもの
理屈を並べて
全てに答えを探して
方程式のないものは
あまり好みじゃなかった
出典: モンタージュ/作詞:Noriyuki Makihara 作曲:Noriyuki Makihara
主人公はどんな人物なのでしょうか。
答えがないものは苦手だったと言っています。
感情よりも理性の方がつよい性格なのでしょう。
なにごとも理路整然としていると安心するのではないでしょうか。
これは、ある程度私たちにも共通する感覚なのだと思います。
システムで整えられた世界を主人公は「方程式」と呼んでいます。
この「方程式」と正反対の世界=恋の世界と対比させています。
恋の世界では一瞬先はなにが起こるかわからない、という例えでもあるのではないでしょうか。
食わず嫌い?
それなのに今は
ふとしたはずみでやってくる
訳のわからない胸の
痛みを楽しんでいる
出典: モンタージュ/作詞:Noriyuki Makihara 作曲:Noriyuki Makihara
主人公が嫌っていた、方程式の役に立たない世界=恋。
恋は突然に、胸の痛みとして認識されるのかもしれません。
そしてその痛みは何気ない瞬間に、私たちの心を刺激して気づかせてくれるのです。
主人公はその痛みを楽しんでいると言っています。
このわけのわからない世界は、楽しい。
これはどういうことでしょうか?
全てに答えが決まっている世界は安全安心ではありますが、退屈を感じてしまう時もあります。
恋の世界は突然で理不尽ですが、それまでの世界を外から眺められるような外国へ連れて行ってくれるのですね。
それまでにない新鮮さをもたらしてくれた恋に感謝です。
恋ってなんだろう?
恋をしているのかも
本当はわからないけど
もう一度君に会いたいんだ
出典: モンタージュ/作詞:Noriyuki Makihara 作曲:Noriyuki Makihara
恋とは何か?昔から古今東西で言葉が尽くされています。
少しこじつけにはなりますが、この一言に尽きるのではないでしょうか?
「方程式はない」
なにがなんだかわからないけれど「もう一度会いたい」
これが恋かどうかの大きなヒントになっていることは間違いないでしょう。
この会いたいという感じは好感度が高いからまた会いたいというレベルではありません。
体の奥底から欲しているニュアンスも加わっているのだと思います。
会いたい=求めている。
主人公が熱烈に恋をしている感じが伝わりますね。