楽曲は4拍子と5拍子を繰り返すトリッキーなAメロから始まります。

硬質なイメージのリズム隊に、漂うように奏でられるギター

変拍子も相まって不思議な空気感を醸し出していますね。

Bメロに入ると4拍子に戻り、サウンドも一気に流麗なイメージに。

脈打つリズムとシンセの音色がシンシンと降り注ぐ雪を彷彿とさせます。

続くサビでは大きく捉えたリズムが壮大な雰囲気を演出。

どこか少年的な内澤の歌声がまた神秘的に響きます。

グラデーションを描くように

1曲を通して色とりどりの変化を見せるこの曲。

例えるならグラデーションを描いているような印象とでもいいましょうか。

そんな、芸術的な側面に秀でた音像となっていますね。

メンバー一人一人が主張するというよりも、楽曲の一部として溶け込んでいるイメージ。

楽曲が主役」だというバンドの思考がよく体現されているのではないでしょうか。

「楽曲が主役」「音楽を届けたい」というスタンスが随所に貫かれており、楽曲を主軸に置いたプロモーション方法も、音楽ファンから支持を受けている。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/Androp

歌詞に隠された悲しいストーリーとは

「Bright Siren」の歌詞は抽象的に表現されていて、一見して細かいストーリーはわかりにくい内容です。

これはandropの「聴く人に寄り添う」という部分からのものもあるのでしょう。

好きなように解釈して欲しいというバンドの思惑が表れているように感じます。

そんな「Bright Siren」の歌詞を筆者なりに解釈。

隠されたストーリーに迫っていきます!

簡単には済ませられない

ね ね 思い出してからね
眠れずにいたんだ
女々しく思うけれど
ただもう自分はなんて言うの

出典: Bright Siren/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

主人公には何か悲しい出来事があったようですね。

それは思い出せば夜も眠れないぐらいです。

そして、いつまでも引きずっているのは男らしくないということはわかっていると言っています。

でも、主人公は「自分にとってこれは男らしいとか女々しいとかの問題ではない」という言い分。

そんなに簡単に済ませられる感情ではないということでしょうか。

「夜のサイレン」が表すのは

ね ね 夜のサイレンにね
願いは消された
ここには居たいけれど
ただもう動き出したからね

出典: Bright Siren/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

「夜のサイレン」は恐らく救急車が来たことを表すもの。

そして消された願いは、大切な人との時間ではないでしょうか。

主人公は恋人を亡くしたのでしょう。

思い出の中に留まっていたいけど、あの時から時間はもう大分経ってしまった。

いつまでもくよくよしているわけにはいかない。

忘れられない自分に対して言い聞かすような主人公の姿が浮かびます。

夢から覚める決意

ね ね 話し出してからね
子の星見上げた
君の目見れずに
漂う夢から覚めてみたくなるよ

出典: Bright Siren/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

「子の星」とは北極星の和名です。

不動の星と呼ばれる北極星は、その特性から自分の位置を知る道しるべのような扱いがよくされます。

夢の中で彼女と話していた主人公。

北極星の導きで現実での位置を知らされることになります。

彼女との時間が過去のものだと、我に返った主人公は夢から覚める決意をしたのではないでしょうか。

思い出にはしたくない

思い出に
思い出に
ならぬように
そっと
心にしまうように
しまうように

出典: Bright Siren/作詞:内澤崇仁 作曲:内澤崇仁

ここで表れるのは「思い出にしたくない」という想い。

これは、思い出せばまた歩みを止めてしまう自分が居るからではないでしょうか。

「もうこれで終わりだ」とでも言うように、胸の奥に記憶をしまい込もうとする主人公が描かれます。