さよならは言わないで
渋谷駅前は今日もうるさい なかなか二人になれない
たまには手を繋ぎたい そんなに素直になれない
帰りの電車はギュッと混みあい 降りる扉は反対
その瞬間ふと目と目が合い 二人、手繋いでいたんだ
出典: 卒業/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
この部分は彼女と付き合っていた時の気持ちが描かれています。
手をつなぎたいのに「素直になれない」ところが、とてもかわいらしいですよね。
帰りの電車に乗ると、もうすぐ離れ離れになることを感じたのでしょう。そして、目が合うという些細なできごとがきっかけで、手をつなぎます。
お互いに手をつなぎたいと思っていたのかもしれません。
無理に背伸び、格好つけたって
あんまり気付いてくれない そんな君には悪気がない
でも僕にはまるで余裕がない
僕をわかってくれない 君をわかってあげたい
出典: 卒業/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
彼女に良いところを見せようとして、格好つけてしまうということは誰にでもあると思います。
そんな時に、彼女にわかってほしいのは「格好良い」ということではなく、それだけ自分が相手を想っているということではないでしょうか。
それに彼女は「悪気がない」けれど、気づいてくれません。そして、必死な自分には余裕がないのです。
僕は君のなんだった 冬になればもう一年だね
愛したって愛されたって身勝手だって思った
僕はわかんなかった
さよならは言わないで 僕ら、友達に戻ろう
出典: 卒業/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
愛することも愛されることもお互いの気持ちの結果でしかないので、「身勝手」だと思っていたのでしょう。
「さよなら」と言わないのは、それを口にしてしまえばすべて終わってしまうと感じたからだと思います。
恋人に戻ろう
別れてやっと気付いたの ねえなんでこんなに寂しいの
変えてしまった爪の色 私、真っ赤に戻したの
おはよう、おやすみ、って誰に言うの
あいつの愚痴もすぐ聞いてほしい
また美味しいお店見つけたの やだ、独り言みたいだ
出典: 卒業/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
ここからは、彼女の気持ちがあらわされています。別れてそばにいなくなってから、寂しさはこみ上げてくるものです。
いつもそばにいた「おはよう、おやすみ」を言う相手がいないと、胸に穴が開いたような気持ちになりますよね。
何気ないやりとりが、自分にとってどれだけ大切だったか感じているのでしょう。
乾いたランジェリー 思わず笑ったバラエティ
部屋には、私、一人きり 冬になるとまた思い出すね
なんて言うか、悲しかった時のことですらも
忘れたくないって思うの
ありがとうって言わないで 私たち、恋人に戻ろう
出典: 卒業/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
「冬になると思い出す」のは、別れた恋人のことです。冬に別れたのでしょう。
付き合っている時はつらかった悲しいできごとも、振り返ると「忘れたくない」思い出に感じる時はありますよね。それだけ、2人は特別な関係だったのです。
それを過去のことにする「ありがとう」は口にせず、恋人に戻ろうと言っています。
2人からの卒業
君より可愛くていい子 俺よりずっと優しい人
そんなのいくらでもいるよ
君の心が嫌だった 俺は心が痛かった でも 君が好きだった
出典: 卒業/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
「俺よりずっと優しい人」という歌詞から、彼女が自分にやさしくないと言ったことがわかります。
自分よりもやさしい人も、彼女よりかわいい女の子も「いくらでも」います。相手を好きだと思うのは、そんな単純なことではないですよね。
恋人から誰かと比較して非難されると、とてもつらいものです。「君の心が嫌だった」のは、欠点は見るのに自分を見てくれないからだと思います。
一万回間違ったって 恋や愛をやめられないさ
さよならだけを伝えるつもりがありがとうと言う
僕にとって 君にとって じゃなく 二人にとって
子供のままじゃダメだ でも 大人ってなんだ
出典: 卒業/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
もう一度やり直そうという彼女に対して、「さよなら」だけを伝えるはずだったのに「ありがとう」と言ってしまいます。
付き合っていた時の気持ちがこみ上げてきたのでしょう。それでも、何度も同じ間違いを繰り返してしまう「子どものままじゃダメ」だと思って言ったのです。
本当に、大人って何なのでしょうか。
渋谷駅前は今日もうるさい なかなか一人になれない街角で人が抱き合い
東京はもう春みたい 帰りの電車はすぐ座れた
いつもの駅とは反対 恋人でも 友でもない
二人からの卒業
出典: 卒業/作詞:椎木知仁 作曲:椎木知仁
別れた自分とは対照的に、街中では人が抱き合っています。
春は出会いの季節とよく言いますよね。まわりにはそのような空気が漂っているのでしょう。
自分は新たなスタートを切るために、「恋人でも友でもない」2人の関係から卒業を決めました。
このように、前に進むために好きだからこそ別れるという選択肢もあるのです。