むげんとは
楽曲について
若くして現代詩+歌で脚光を浴びた崎山蒼志。
10代の見事な詞世界が、多くのアーティストの称賛を浴びています。
彼があらたに発表したアルバムの名は「並む踊り」。
君島大空、長谷川白紙、諭吉佳作/menという3人の個性的なアーティストとの合作に挑戦します。
今回取り上げる「むげん」は、女性アーティスト、諭吉佳作/menとの合作です。
うつくしいPVとともに、魅力的な作品にしあがっています。
諭吉佳作/menとは
崎山とおなじ静岡県出身の女性アーティスト。
とある音楽家の集まりで演奏しているのを崎山が目撃し、興味をいだいたそうです。
個性的なアーティスト名のとおり、大胆な言葉の使い方をするシンガーソングライター。
今作では、ふたりが伸び伸び作詞をし、ひとつの詞にした様が窺えます。
詞の内容をみると、彼女の個性がかなり影響を与えています。
女性らしさの存在も、今回の楽曲の特質のひとつです。
PVでも登場し、崎山との息のあったアンサンブルを見せています。
歌詞を解説
三角形と丸
心ない三角形が邪魔している
生活が成立している
まん丸の頭のなかの人生を解除した
さっきする前わたしが
むきだしの逆再生を、味見して
牛乳みたいな声が出た
工程を用いる道理を首がよけ
踊りちがえる私の魂
出典: むげん/作詞:崎山蒼志、諭吉佳作/men 作曲:崎山蒼志、諭吉佳作/men
はじめこの歌詞を見た時、なんだ??と戸惑いました。
「心ない~」ってなんでしょう?
ほかにも聴き手を戸惑わせるような、とんがった言葉があちこちに。
崎山のほかの作品を見るとそうでもないので、これは諭吉佳作/menの影響です。
三角形とは何でしょうか?
はじめは分からず、部屋の中の変な形のイスとか、あれこれ想像しました。
終わり近くで、わたしの推察の結論を発表しています。
それが正解かどうか、みなさんも考えてみてください。
とにかく詩句を上から見てゆきましょう!
「心ない~」とはとにかくちょっと目障りなもの。
それが僕らの生活の支障になっているらしいのです。
それでも暮らしは成立なんて、おとこ言葉を使うのが特徴。
三角からの連想で、僕の頭は丸いと言います。
「人生を解除~」は考えるのを止めたということ。
「むきだしの~」の部分はまた難解。
逆再生と言うのは、何かを工夫で生きていた状態に戻すことと捉えます。
するとチルドルームで凍らせていた魚介類か何かということになりませんか?
解凍したそれを味見したのです。
すると口から「牛乳を飲んで出るお腹の音」みたいな声がおもわず出たのです。
こうなると最後の行「工程を~」(公開歌詞通り)に、光明が差します。
これは、「凍っても(凍って重!)、チルド!」と叫んでいるのではないでしょうか?
楽しく歌いながら、キッチンで踊る私の魂なのですから!
日常の描写を風変わりな言葉で描くことに、歌い手は歓びを見出しているようです。
パズルのような言葉の言い換えで、なんともいえない遊び心が出せるのです。
謎めいているところもまた面白いといえるのではないでしょうか。
水道管から
くらいせまいあたたかい
顔を洗う水踊る踊る蹴る
きづいてほしい
からだのなかのわたしのなか
つくられる模様色かたち
うれしそう誰かがうれしそう
どこへ向かうのだろう
出典: むげん/作詞:崎山蒼志、諭吉佳作/men 作曲:崎山蒼志、諭吉佳作/men
水道管から外に出た水が踊ります。
PVでも、印象的な水の映像が使われています。
液体の持つ、みずみずしい生命力を、上手に描き出しているのです。
管から水が出てくるその喜びの感情?!
くらいせまい水道管から水がシューっと上ってきてあたたかい部屋に出る。
ひとの顔を洗ってはしゃいで踊って踊って蹴ることまでします。
水にも感情があるということを、伝えたいのでしょう。
そして体の中の血管に連想が飛ぶようです。
その水みたいに僕のからだの中もなにかがうごいていて色んな模様や色や形を作っています。
血管がつくる模様から喜びが伝わり、とってもはしゃいでいるようです。
「からだ」はひとの頭の中の考えとは別に、生きているのです。
街の灯り
このせんから受け取った
住宅、都市の明かり
見えないけど
覚えてる包まれる音
包まれた音のはざまで
うなるような映像を見た
出典: むげん/作詞:崎山蒼志、諭吉佳作/men 作曲:崎山蒼志、諭吉佳作/men