唯一無二の世界観
ファーストアルバム『いつかみた国』に収録されている『国』。
崎山蒼志さんの若き才能を感じられる1曲となっています。
なぜタイトルが『国』なのか?
曲中で歌われる「国をつくろう」とはどういう意味なのか?
その深すぎる意味に迫ります。
崎山さんにしか書けない歌詞。
崎山さんにしか歌えない歌。
そんな唯一無二の世界観を堪能しましょう。
現実感のない映像
MVからすでに意味深な『国』。
海に向かって歌う崎山さんと、夜道や海のそばを駆けていく1組の男女。
この男女は、いったいどこへ向かおうとしているのでしょう?
彼らが向かう先に、彼らのつくる「国」があるのかもしれません。
不思議で、現実感のない映像。
まるで夢を見ているような気分になります。
曖昧で不確か。
本当にあるかどうかも分からないもの。
それがこの曲で歌われている「国」の正体だったりして……。
小説を読むイメージで歌詞を考察
初めからやり直したい
時を止める 僕らだけの
幸せそうな 国をつくろう
かつて流した涙も忘れるくらいの
出典: 国/作詞:崎山蒼志 作曲:崎山蒼志
つくりたいのは「幸せそうな国」。
ということは、今はあまり幸せではないということなのでしょう。
「かつて~」の歌詞からも、辛い過去があったのだと読み取れます。
今のまま先に進んでも、きっと良いことなんてない。
もしも時を止めることができたなら、自分の住む世界を一からつくり直してやるのに。
ここの歌詞には、そんな想いが込められているのではないでしょうか?
現状をどうにかしたいという願いと、どうすることもできないという挫折。
もういっそ、何もかも初めからやり直したい。
そんな気持ちになったことが、誰にでも一度はあるはずです。
現実には見切りを付けた
おとぎ話の世界で息をするの
形はなくとも夢ではないの
街のはずれで座り泣いてる君と
キラキラした夜なんてもう見たくはないの
出典: 国/作詞:崎山蒼志 作曲:崎山蒼志
「形はなくとも夢ではない」それがおとぎ話の世界だと歌われています。
おとぎ話の世界を現実にすることはできない。
しかしそれが、存在の否定には繋がらないはずです。
おとぎ話の世界は、ひとつの概念として確かに存在しています。
誰もが知っているおとぎ話。
触れることはできなくても、感じることはできる。
そんな世界で「息をするの」と歌います。
どうやら現実世界には、すでに見切りを付けている様子ですね。
生きていきたい場所なんて、ここにはない。
この街では君が泣いています。
それにも関わらず、夜はキラキラと輝いている。
こんなの残酷だ。
そんなやるせない想いがあるのでしょう。
僕らの理想
「幸せそうな国」とは、具体的にどういう国なのか?
そのことに着目して、次の歌詞を読み解いていきます。
「幸せそうな国」に込められた意味が分かれば、「僕ら」の理想が見えてくるはずです。