限りある未来を搾り取る日々から
脱け出そうと誘った 君の目に映る海

出典: 愛のことば/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

人は誰でも平等に寿命というものがあります。つまり人生には限りがあります

その人生をいかに有意義に後悔なく過ごしていくか、そうやって思うままに過ごしていけたらよいのですが、現実はそうも上手くいきません。

生きていくためには働いたり、学校に行ったり、やりたくないこともやらなければいけないのです。

しかし、そんな日々ばかり過ごしていると「こんな人生でいいのか?」と疑問に思ったり、心がすり減ってしまうのではないでしょうか。

そんな時、息抜きができるように君を海へ連れ出します。

くだらない話で安らげる僕らは
その愚かさこそが 何よりも宝もの

出典: 愛のことば/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

連れ出した海で他愛のない話を交わす君と僕。

気心の知れた相手と話すことは、たとえ何気無いやり取りだったとしても、すり減った心は癒されていきます。

上手くいかない日々でも、たまにこうしてくだらない話ができる相手がいること、そして、笑い合える環境があること、それはとても尊いことなのです。

スピッツ「愛のことば」の歌詞詳細とは?アルバム【ハチミツ】に収録♪の画像

昔あった国の映画で一度観たような道を行く
なまぬるい風に吹かれて

出典: 愛のことば/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

現在地は海なので、海沿いの道が思い浮かびます。海沿いの道は映画によく使われますよね。

そんな湿気を多く含んだ空気が渦巻く道を進んでいく2人が目に浮かぶようです。

今 煙の中で溶け合いながら探しつづける 愛のことば
傷つくこともなめあうことも包みこまれる 愛のことば

出典: 愛のことば/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

くだらない話で笑い合った後、2人で煙のような波しぶきの舞う海沿いの道を歩き、また日常に戻っていく姿が想像できます。

それぞれの日常の中では、たくさんの不条理や苦難や我慢があります。

それらと戦って疲れ、すり減った心を癒すために、たまにこうして大切な人と安らぎあうことの尊さを感じた海。

戦って、疲れて、癒して、また戦う。

その繰り返しを何という言葉で表したら良いのか模索していくようなサビになっています。

優しい空の色いつも通り彼らの
青い血に染まったなんとなく薄い空

出典: 愛のことば/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

2番になると普段の不条理な日常に戻ってきます。

本来ならば優しい色をしているはずの空の色は、いつも通り彼らの青い血に染まっていきます。

この「彼らの青い血」とは一体何を表現しているのでしょうか。

本来ならば人間には赤い血が流れているはずなのに、「青い血」と表現することで、人間らしい温かい気持ちが通っていない冷たい人たちの言葉や行動を表しているのではないかと考えられます。

そういう冷たい人たちが周りにたくさんいるので、「染まった」という言葉が出てくるのではないでしょうか。

それによって優しさが薄れた空に見えてしまうわけです。

焦げくさい街の光がペットボトルで砕け散る
違う命が揺れている

出典: 愛のことば/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

そんな不条理な人たちで溢れた街はどこか嫌な匂いを纏うようです。

これはそういった社会への嫌悪感が表現されているのではないでしょうか。

しかし、その中にもそんな社会を変えていこうと立ち上がる人間はいるはずです。

それを「光」と表現しています。

とはいえ、現実は甘くはなく、そういうものほど人間の手、または人間の手がかかった何か人為的な策略などによって打ち崩されてしまいます。

それを「ペットボトル」という人間が作ったもので表現しているのだと考えられます。

出る杭は打たれてしまうものなのです。

しかし、そんなに簡単に光は消えることはありません。また同じように考える人が現れてくるのです。

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今 煙の中で溶け合いながら 探しつづける愛のことば
もうこれ以上進めなくても探しつづける愛のことば

出典: 愛のことば/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

2番のサビではそんな不条理で苦しくて、もうダメかもと思ってしまうような日々でも救いや安らげる日々を探し続けていくような健気な姿勢を感じ取ることができます。

雲間からこぼれ落ちてく神様達が見える
心の糸が切れるほど 強く抱きしめたなら

出典: 愛のことば/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

救いの手はある日、突然現れます。

そのチャンスは逃さないように離さないように大切に捕まえておきましょう。

昔あった国の映画で一度観たような道を行く
なまぬるい風に吹かれて

今 煙の中で溶け合いながら探しつづける 愛のことば
傷つくこともなめあうことも包みこまれる 愛のことば
溶け合いながら…溶け合いながら…

出典: 愛のことば/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗

そして、場面はまた最初に戻ってきます。

やはり日々は繰り返しなのです。

戦って、疲れて、癒して、また戦う、そのループを何と呼ぶべきか、そして、それを見つけることができれば、この不条理な日常とも折り合いをつけて生きていけそうな気がする、そんな気持ちが感じ取れる締めくくりになっています。