ヴェールを脱ぐ生まれたばかりのわたしの姿は
ただ小さく無防備でも
あなたと知るいろんなわたしの局面に触れたい
築き上げた過去を捨て
出典: 箱庭 ~ミニチュアガーデン~/作詞:天野月子 作曲:天野月子
「生まれたばかり」とはおそらく、はじめて心を開くことを決心したということでしょう。
今まで自分の殻の中に閉じこもっていたのです。
まるで蚕が繭の中で守られているように、自分を守っていたのでしょう。
それが、あなたと出会って心を開くことに決めたのです。
あなたと接していると、自分にいろいろな面があることに気づかせてもらえます。
それがフシギでもあり、戸惑いながらも嬉しいようです。
他人に対して心を開くことは、心が無防備な気がします。
自分の世界に閉じこもっていた人ならば当然でしょう。
しかし、築き上げた過去を捨てると宣言します。
何を探してた?
生き急ぐ足音もわたしはほほえむから
探してる答えなどもうどこにもないから
出典: 箱庭 ~ミニチュアガーデン~/作詞:天野月子 作曲:天野月子
ちょっと不可解なフレーズです。
『箱庭~ミニチュアガーデン~』の歌詞がわかりにくいといわれるのはこんなところでしょう。
「生き急ぐ」のは誰でしょうか?
わたし自身かもしれませんし、彼かもしれませんし、まわりの世界かもしれません。
それに対して微笑むと歌います。
この微笑みとは嬉しくて微笑んでいるのでしょうか?
心が傷つけられた人は、不可解に微笑むことがあります。
張り付いたような微笑みをするのです。
まるで、恐ろしい世界から自分を防御するかのように…。
答えを探すけれど、どこにもないと歌います。
どんな答えを探してたのでしょうか?
ひょっとすると理想の愛かもしれませんね。
全てを許容してくれるような完全な愛なのかもしれません。
恋愛に対して永遠を希望する女性の不安とは
永遠とは何かを感じさせてね
頬を寄せて吐息を合わせて
もしあなたと始まることになっても
かまわないと今なら強く言えるの
出典: 箱庭 ~ミニチュアガーデン~/作詞:天野月子 作曲:天野月子
おそらく女性は、永遠を感じさせる完全な愛を求めているのです。
永遠を感じさせてと彼に願います。
おそらく彼女はとても愛情に飢えている女性です。
人との愛着(アタッチメント)において、何かが欠けているのでしょう。
したがって自分の世界に閉じこもってしまったのです。
しかし永遠など本当に手に入るものでしょうか。
相手の男性だって普通の人間です。
今まで接してきた親、先生、友達だって不完全な普通の人間だったのですから。
彼女はそれに薄々気づいているようです。
完全な愛でなかったとしても、「あなたとはじまってもかまわない」と思っています。
支離滅裂に思える叫びに隠された真意とは
「許して」と「殺して」と「抱いて」がなぜ同列に?
繋いで繋いで揺り籠に揺られ
わたしとあなたを わたしとあなたで
許して許して殺して柔らかく抱いて
繋いで繋いで 揺り籠に揺られ
わたしとあなたを わたしとあなたで
出典: 箱庭 ~ミニチュアガーデン~/作詞:天野月子 作曲:天野月子
「生まれたばかり」のわたしは揺り籠に揺られているような気分なのです。
感情を押し殺してきた自分にとって、揺れ動く感情が新鮮に思えます。
途切れていた時間が繋がるような感情です。
しかし、3行目の意味とは?
「許して」と願う気持ちとは何でしょうか。
おそらく、自分は悪い人間だという自己処罰の感情があるのかもしれません。
あなたに許して欲しい=自分を許容して欲しいという感情ではないでしょうか。
「殺して」という衝撃的な言葉の真意とは?
「自分は愛されない」という誤解から死にたがるのは女性に多いかもしれません。
また、愛情に対して不安を感じて自傷願望のある場合があるのではないでしょうか。
女心は本当に複雑です。
新しい不安と希望に向かって歩き出す
許して許して殺して柔らかく抱いて
繋いで繋いで 揺り籠に揺られ
わたしとあなたを わたしとあなたで
許して許して コロシテ 柔らかく誇らしく抱いて
扉を開け手に入れたすべてを置いて出て行こう
出典: 箱庭 ~ミニチュアガーデン~/作詞:天野月子 作曲:天野月子
前章と同じ歌詞になっています。
しかし前章の「殺して」は「コロシテ」というカタカナに変えられているのです。
このあたり、天野月子が私たちに謎かけをしているのではないでしょうか?
この衝撃的な謎のキーワード、解いてみて?と言わんばかりです。
これ以上説明はしませんが、想像を巡らせてみてください。
さて、最後の1行は希望と再生を現わすフレーズとなっています。
確かに女性は恋愛に対してとても不安です。
自分だけを愛してくれるだろうか?
心変わりをしたりして、永遠など感じさせてくれないのでは?
不安は拭えません。
しかしながら、彼と向き合うことを決心します。
「扉を開ける」というのは心を開くことです。
今まで1人の世界で手に入れたものを箱庭に置いて出て行こうと決心します。