Saucy Dog「BLUE」
Saucy Dogは2013年より活動している3ピースオルタナティヴロックバンドです。
今回紹介するのは彼らが2020年6月12日に配信リリースした楽曲「BLUE」。
Vo/Gt.石原慎也の少年性を感じる澄んだ歌声が楽曲に爽やかさをプラスしています。
今回の記事では、その繊細な歌声によって歌われる歌詞に注目し「BLUE」という楽曲の歌詞の意味を考えていきましょう。
彼らにとっての運命とは一体どのようなものなのでしょうか。
その歌詞に隠された彼らの意志を紐解いていきます。
世界への絶望
心をすり減らしながら
高層ビルの海の中
漂ってる僕ら今日も
溺れそうになりながら
息継ぎの場所を探してる
出典: BLUE/作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
まず最初の歌詞パートでは、高いビルで埋め尽くされる街で生きる主人公の姿が描かれています。
まるで海を泳いでいるかのように、その街で暮らすことに息苦しさを感じているようです。
都会の大きな街というのはビルだけではなく人や物によって覆い尽くされている場所でもあります。
主人公にとってその中で暮らすということは、日々心をすり減らせる行為なのではないでしょうか。
4行目の歌詞は、そんな日常から逃避できるような場所を意味しているのだと考えられます。
彼の心が少しずつ追い詰められていることが伝わってくる歌詞パートです。
目標を見失って
“Do you kill me?”この世は
息苦しくてしょうがないね
産まれた意味を教えてよ
どこを目指して游げばいい?
出典: BLUE/作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
この歌詞パートによって、彼が息苦しさを感じているのはその街の中だけではないということが分かります。
彼にとってはこの世界自体が生き辛い場所なのでしょう。
死んでしまうことを考えるほどに彼は心が追い詰められています。
この世に対して絶望しているのかもしれません。
3、4行目の歌詞から分かるのは、彼の心に大きな不安が存在しているということです。
何故生きているのだろうという疑問を抱き、どのような未来を目指していけば良いのか。
それを見失っていることで、今生きていること自体に息苦しさを感じているのではないでしょうか。
人生の目標がないことで、まるで広大な海の中で彷徨っているような気分になっているようです。
運命を変える
未来は自分で切り開く
運命なんか知らない
僕らで作ればいいや
出典: BLUE/作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
しかしその絶望の中で彼は未来への道を見出しつつあります。
彼はこの歌詞パートで運命を自分で作っていこうという結論に至っているのです。
それは今まで自分が受け入れられていないように感じてきたその街や世界が生み出したルールに従わないことを意味します。
何者かによって用意された運命ではなく、自分自身で未来への道を切り開いていくこと。
それが彼にとって、絶望の中で見出した希望なのではないでしょうか。
彼はなぜ、自分自身で運命を作ろうとしているのでしょう。
運命というのは、目に見えない何かによって決定付けられた抗えないものとして描かれることが多くあります。
しかし主人公はそんな運命さえ自分で塗り替えていこうと考えているのでしょう。
苦しいのなら、自分で現状を変えて行こうという気持ちなのかもしれません。
その意志が、ここでは「運命を作る」という言葉となって表現されているのだと考えられます。
自分の生き方を貫く
流されて 泣かされて
世界に見放されても
僕らどこまでもこのままで
誰にも愛されなくても
出典: BLUE/作詞:石原慎也 作曲:Saucy Dog
冒頭の2パートでは、死の気配さえ感じられた主人公の言葉たち。
しかしここでは、世界に絶望しつつも前向きになろうとしていることが感じられる言葉が紡がれています。
世界が自分を拒絶しようとも、このまま生きて行こうと考えているのでしょう。
たとえそれが苦しみを伴っていたとしても、誰からの愛情も得られない道だったとしてもです。
何故なら、彼にとって自分を貫き通すということが1つの救いだから。
社会の濁流に飲み込まれてしまわぬように、この世界に必死に食らいついているのでしょう。
本当に運命を変えられるほど、彼は自分の意志を強く持っていることが伝わってきます。