守るものができた

毎日の仕事に追われ疲れていても、彼には愛する妻がいます。

そして妻のお腹には新しい命が静かに呼吸を始めていました。

守るべき者の存在が、苦しくても仕事を続ける力を与えたのです。

美しい奥さんとの幸せと感謝の気持ち

麗(ウルワ)しいあなたと
共に生きられる
こんな俺だけど ありがとう

出典: 金目鯛の煮付け/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

主人公は、美しい妻と共に生きられることに感謝しています。

彼にとってかけがえのない存在なのでしょう。

一緒に生活していれば良い時ばかりではありません。

時には愚痴も吐きたくなります。

家に帰って妻に八つ当たりしたこともあったでしょう。

妻はどんな時もそばにいて、優しい笑顔で彼の言うことを聞いてくれました。

姿形だけではなく、生活を共にしてきた歴史そのものが美しく代えがたいものだったのです。

小さな命とともに生きていく

小さな生命(イノチ)が あなたに宿る
どんな世の中を この子と生きる

出典: 金目鯛の煮付け/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

妻の中に宿った新しい命は、新たな希望と勇気を与えてくれました。

妻と子という二つの大事な宝物ができたのです。

主人公は、この家族のためなら何でもできると心に決めていました。

これから先、どんな世の中になっても家族を守るという覚悟を決めたのです。

仕事がどんなに辛くても、世間の風あたりが強くても、守るべき者のためなら耐えられます。

金目鯛の意味

桑田佳祐【金目鯛の煮つけ】歌詞の意味を考察!悲しみを迎えに行くのを止めた理由は?金目鯛の意味に迫るの画像

タイトルの金目鯛の意味を考えてみました。

一般的に高級魚とされる金目鯛ですが、どんな意図で歌詞に組み込んだのでしょう。

たまには高級魚の金目鯛でほんの少しの贅沢を

甘辛く煮た 金目鯛

出典: 金目鯛の煮付け/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

金目鯛は高級魚といわれています。

割烹などの高級料亭でよく扱われますが、普通のサラリーマンにはハードルが高い食材です。

希少な魚なので、特別な日やおめでたい席でよく振舞われます。

縁起物として重宝され、古代魚で生命力が強いのも特徴です。

主人公は、この日を特別な日にしようと決めたのでしょう。

家族や自分へのご褒美として、ほんの少し贅沢な気分を味わってみたかったとも考えられます。

金目鯛という具体的な表現をすることで、明るい食卓がリアルに浮かんでくるのです。

煮つけは温かい家庭の象徴

甘辛く煮た 金目鯛
静かに時間(トキ)が 通り過ぎる

出典: 金目鯛の煮付け/作詞:桑田佳祐 作曲:桑田佳祐

魚の煮付けは、あたたかな家族の象徴です。

「煮付け」と聞いただけで、食卓に立つ甘い湯気と和やかな団らんが思い浮かびます。

金目鯛の煮付けは、身離れが良く食べやすいのが特徴です。

小骨の心配をすることもないので安心して食べられます。

世の中のしがらみを金目鯛の骨にたとえてみましょう。

社会のしがらみから抜け出せないでもがいている姿は、小骨が多い魚の煮つけを食べているようです。

金目鯛の煮つけは、小骨が少なくほろりと身が掴めます。

ストレスを感じることが少ないのです。

金目鯛を買って家路を急ぐ彼の主人公の頭の中に、夕飯を囲む情景が浮かんできました。

煮付けを前にした食卓のほんのりとした幸せです。

何げない一日の終わりの暖かい団らんには、小さな幸せを感させる力があります。