人の命は有限で、人ができることも有限です。
にもかかわらず時折足元が不安定になることもあります。
その不安定さを安定させてくれるもの。
人はそういったものを求めてやみません。
愛を求めて
一心不乱のやり取りも一瞬の瞳に勝てない
焦がした胸に飢えている
あたしはどうですか
出典: コヨーテエンゴースト/作詞: wowaka作曲:wowaka
「君の瞳に恋してる」なんて言葉があります。
時として人は瞳の輝きに強く引き付けられます。
主人公はあの娘と目があってしまったのでしょう。
そして一瞬にして落ちてしまった。
千の言葉よりも響くものがあったのです。
相手を何度も繰り返し思う心は焼け付きそうなほど。
自身の熱にあてられて息もできぬほど苦しくてたまりません。
人は何も食べず、何も飲まないままでは飢えて死んでしまいます。
主人公はあの娘が与えてくれるものを求めて飢えているのです。
有限は無限へと
有限の型のあたしもっと
あなたいないとまだ足りない!
生命の形なんてきっと
あなた以外に有り得やしない!
出典: コヨーテエンゴースト/作詞: wowaka作曲:wowaka
あなたは命そのものだ。
これは中々に強烈な愛の言葉ではないでしょうか。
人ができることには限りがあるもの。
ですがそこに誰かが加われば限りの幅は広がります。
だからこそ人は他者と共存しようとするのですから。
それでも共にいる「誰か」は誰でもいいわけではありません。
たった1人を望んでやまないのです。
その思いは
一切報われぬ声が猛烈な雨に見えた
悲しい夜で泣いている
ただ狼狽えている
出典: コヨーテエンゴースト/作詞: wowaka作曲:wowaka
この物語の主人公はどうして一切報われないと感じているのでしょうか。
相手に恋人がいる?
想いを伝える勇気がない?
何だかそれとはまた別の問題を感じてしまいます。
他人でしかなく
一線超えた二人も一瞬の独りに勝てない
悲しい夜に薄情なあたしは如何かしら
出典: コヨーテエンゴースト/作詞: wowaka作曲:wowaka
「こんな私でもいいでしょうか」。
そう問いかけているように聞こえます。
実際に一線を越えたのか仮定の話であるのか。
どちらにせよ生命そのものだと叫び、とけあった相手だとしても同じ存在ではありません。
同じには成れない以上独りから逃げることはできません。
幸福なはずなのに悲しみがある。
やるせなさが伝わってくるようです。
絶対に相手に伝わらない、報われない想いには狼狽えるしかありません。
この恋は正解?
ところでこの主人公が恋する相手は「あの娘」、つまりは女性です。
そして歌詞を見ると主人公は女性のように思えます。
誰に恋をしようと自由なものですが世間一般がいう「常識」はそれを認めません。
むしろ相手が「幽霊」ならば諦めもついたのかもしれませんが。
相手が生きている以上そう簡単に思いを捨てることはできません。
彷徨ってそれでもなお
夢現には嘘ばかり。
青目のコヨーテは泣きじゃくり。
何処までも脚を引き摺り回し。
正解、正解、正解、
願っている。
出典: コヨーテエンゴースト/作詞: wowaka作曲:wowaka
正解とはいったい誰か決めた正解なのでしょうか。
いったい何をもって正解とするのでしょうか。
それは主人公もきっとよくわかっていないでしょう。
それでも迷い彷徨って確かに報われるときを願っています。
嘘ではない本当の気持ちが報われるときを。