ありふれた空気に紛れて
声が聞きたかっただけなのに…。不意打ちの様に機械的なメッセージが流れてきました。
一瞬の沈黙のあとに
留守番電話サービス 吹き込んだ低周波
日常の最前線 私は何処に行けば?
溜め込んだ冗談を一度に吐き出した
そりゃそっか 今だって止まらず
何もかもが変わってるんだ
出典: 日常と地球の額縁/作詞:wowaka 作曲:wowaka
話すはずだったことをいきなり封印させられて吹き込むメーッセージ。
その声は無意識で低くなるのでしょうか。
それとも今のメンタルも伝えたくて地面を這うような声になるのかもしれません。
直接話すのではなく、留守電にメッセージを入れるのはビジネスライクな作業。
本当に伝えたい私の心は行き場を失って宙に浮いたままのようです。
それでも一気にメッセージを吹き込むために口にしたことは「冗談」。
私にとっては笑えないけれど相手にとっては笑える話を意味しているのでしょう。
思いを伝えることが止められないようですね。
相手の心はあの時と違って完全に離れていることが分かっているのに…。
手にしたものは…はさみ
煤けた四畳間 持ち込んだ超音波
日常を逃げ出した 私を笑うのでしょ
間違った本当も正しい嘘さえも
切り取った正解を何度と確かめるだけの毎日だ
出典: 日常と地球の額縁/作詞:wowaka 作曲:wowaka
ぼんやり汚れた部屋にある「超音波」は私の心を表しているのでしょうか。
それは「空気の中を細かく震えて進むけれど相手の耳には届かない」のが特徴です。
心が震えて舞い上がるくらい好きなことが伝わらなかったのでしょう。
私の思いは必ず届くはず、行方不明になる現実は考えもしなかったようですね。
残っているのは、本当ならながい言葉をつなげた不可解な文章。
「相手の言う正しいことを私は違うことにしたかった」と解釈してみました。
でも今は相手が正しいことを認めなければいけないのでしょう。
先程の歌詞にあったように相手はすでに心変わりをしています。フラれたのは私。
自分に別れを言い聞かせるために相手から告げられた正しい答えだけを切り取っておく。
そうしないとまた相手を好きになってしまうから…。
覚えておきたい思い出はあるけれど、残しておくのは別れたという現実だけなのでしょう。
何も考えない…それができるなら
ここから離れて
ああ、それは遠くなった。暗い暗い夜を待った。
ふと、色合い無くなった。わざわざフラつくんだ。
もう、遠いとこに行って無邪気にただ沈みたいんだ
でも答え、わかんないや
出典: 日常と地球の額縁/作詞:wowaka 作曲:wowaka
遠く離れてしまったのは相手の心。終わったことをゆるく受け入れ始めたのでしょうか。
沈んだ気持ちを引きずったままで明るい太陽の下にはいられない。
待っているのは陽が沈んですべてが暗くなる世界。
夜になれば気を紛らわすためにお酒を飲むのでしょう。足元が危ういのはそのためです。
歌詞の後にある「。」は行き場のない迷いを断ち切るためでしょうか。
モヤモヤしていることを忘れて落ちるだけ落ちていきたい。
何にもこだわらないでただ忘れることを望んでいるのでしょう。
どうしていいのか分からない、もしかして落ち込んでいる理由も分からなくなっているのかもしれません。
すべてが無くなって…
無駄に綺麗な部屋の中
出典: 日常と地球の額縁/作詞:wowaka 作曲:wowaka
この1行の歌詞は今の心の中を表していると解釈してみました。
あんなに満たされていたのに今は心の中には何もありません。
空っぽで一見片付いた状態なら心は整っているように見えるでしょう。
でもそれは大切なものまでも失った意味のないキレイさ。
あの時積み上げた輝きはもう戻ってこないのでしょう。