歌詞に込められた深すぎる想い
ハイセンスな歌詞が魅力の『センスレス・ワンダー』。
ヒトリエの1stアルバム『WONDER and WONDER』に収録されています。
歌われている歌詞は、最初から最後まで意味深な言葉ばかり。
聴けば聴くほど、この曲の持つ深い魅力にハマっていきます。
曲中の「あたし」は、いったいどんな感情を抱えているのか?
『センスレス・ワンダー』に込められた想いに迫ります。
MVから分かる「あたし」の感情
MVは独特なカメラワークが印象的。
真上からのアングルで撮影したり、画面がクルクルと回転したり、歌詞と同じように見ている人を振り回します。
これは「あたし」の不安定な感情を表現しているのでしょうか?
ひとつの場所に留まっていられない、グラグラと揺れ動く気持ち。
MVを見ていると、「あたし」の心の中に迷い込んでしまったような錯覚を覚えます。
冒頭や間奏でかき鳴らされるギターソロは、「あたし」の叫びなのかもしれませんね。
厄介な感情を持て余す
それではさっそく気になる歌詞を読み解いていきます。
歌われているのは「あたし」の内側で溢れている感情について。
人が持つ感情は複雑で、なかなか簡単に言い表すことができません。
この曲の「あたし」も、自分の中で生まれた厄介な感情を持て余している様子です。
「向かい側」に行く理由がある
あたしはイレギュラー内側に咲いた自尊心
泣きたく成るから後ろ向きで行こう?
さあ無邪気な言葉は臆病に世界を彩って
向かい側に飛び込む理由を描いていった
出典: センスレス・ワンダー/作詞:wowaka 作曲:wowaka
冒頭から「あたし」の不安定な感情が爆発しています。
自らを「イレギュラー」だと宣言しているのは、きっと自尊心を守るためでしょう。
自分は普通とは違う。だから誰からも理解されない。
そう思い込むことで、傷付かないようにしているのかもしれません。
しかし、いつまでも「後ろ向き」ではいられない。
「あたし」は今いる世界の「向かい側」へ行く理由をすでに持っています。
この「向かい側」とは何を表しているのか?
そのことにも注目しながら、この後の歌詞を読み解いていきましょう。
声に出した気持ちと出せない気持ち
「気づかない、もどかしい」
「其処にゃきっと、何もない」
「浮かれたい、好かれたいなって言えばきっと泣いたろう?」
ああ
「届かないよ、届かないな」って
笑えないよ、笑えないなって
見惚れたい、見惚れたいなんて
(バラせないよ、バラせないな)
出典: センスレス・ワンダー/作詞:wowaka 作曲:wowaka
この曲の歌詞で特徴的なのが、鍵カッコと丸カッコが使われているところです。
恐らく鍵カッコの歌詞は「あたし」が声に出している気持ち。
丸カッコの歌詞は「あたし」が声に出したくても出せない気持ちを、それぞれ表現しているのでしょう。
また、カッコで囲われていない歌詞は、「あたし」の心情であると考えられます。
では「あたし」は、鍵カッコの気持ちを誰に伝えているのか?
それは前の歌詞に出てきた「向かい側」にいる相手ではないかと思います。
どうやら「あたし」は「向かい側」の世界に憧れている様子です。
しかし「あたし」は「向かい側」に行くことができない。
それは、自分の心情を知られるのを恐れているからかもしれません。
(バラせないよ)というのは、きっと「あたし」が持て余している厄介な感情のことを言っているのでしょう。
たどり着きたい場所
サビの歌詞を読み解くと、「向かい側」のことが少しだけ分かってきました。
「あたし」が憧れる「向かい側」。
それは簡単にたどり着ける場所ではないようです。