RADWIMPSの通算6thアルバム『絶体絶命』
2011年3月9日にリリースされたRADWIMPSの通算6thアルバム『絶体絶命』。
前作『アルトコロニーの定理』で確立した中期RADWIMPSの世界観を押し広げたような名盤です。
アルバム名『絶体絶命』は、「糸色(いとしき)体(からだ)糸色(いとしき)命(いのち)」という意味もこめられていて、二重の意味で機能しています。
アルバムの盤面には、このアルバムの歌詞がすべて重なって文字で構成されており、これまでよりも言葉がより意味を持つことを示唆しているかのようです。
では、作詞、作曲をこなす野田洋次郎はこのアルバムで何を伝えたかったのでしょうか?
『絶対絶命』アルバム収録曲
track.1 DADA (dadadadaVer.)
生きてる間すべて遠回り すべて大回り なのにそれなのに
近道探してみて 小回り お巡りに見つからないようにばかり
あげくの果ては拜み 神賴み 少しでも樂に 他人よりも前に
葉わぬと知るや否や 嫌み ひがみ 鬼畜の極み 南無阿彌陀佛
出典: DADA/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
「アルトコロニーの定理」に収録された「おしゃかしゃま」と双璧をなすミクスチャーロックの真骨頂がアルバムの冒頭を飾ります。
現在の人間の営みがまるで駄駄をこねているような退廃的なものであることを示唆するこの曲。
まさに南無阿弥陀仏と唱えるしかない、苦しい世界観がアグレッシブに表現されています。
track.2 透明人間18号
賢者も 空も 凡人も それぞれの色に染まる中
太陽の光纏った君は 無色透明に輝いていた
出典: 透明人間18号/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
自分は何色に染まれるのか?
でも自分は自分でしかない。
太陽は万物を照らしているという真理とともに、自分のこの何物にもなれなさを、好きだと言ってくれた君のことを歌う野田洋次郎の真骨頂ともいえる名曲です。
track.3 君と羊と青
奇跡は起こるもんじゃなくて起こすものだと
手当たり次第ボタンがあれば連打した
『今』 がすり切れるくらいに生きてたんだ
精一 目一杯を
喜怒哀楽の全方位を 縦横無尽に駆け抜けた日々を
君を見つけ出した時の感情が
今も骨の髄まで動かしてんだ
眩しすぎて閉じた瞳の残像が
今もそこで明日に手を振ってんだ
出典: 君と羊と青/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
2011年NHKサッカーテーマソングです。
タイトルの「君と羊と青」は、群青という意味も隠されています。
手当たり次第に奇跡を起こすために行動しためいいっぱいの青春と、君との日々が想いおこされるアルバムの人気曲です。
track.4 だいだらぼっち
一人ぼっちは寂しいけれど 君と二人ぼっちなら
寂しくなんかない 一人ぼっちなんかじゃない
一人ぼっちと一人ぼっちが 集まってできたこの世界
寂しいことなんかない 一人ぼっちなんていないよ
一人ぼっちになんてなれないから
出典: だいだらぼっち/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎
ひとりであることを見つめながら、ひとりひとりが集まってできたこの世界で決してひとりになんてなれないことを歌うこの歌。
寂しさと優しさが響いています。