【INCUBUS/Acid Black Cherry】アルバム重要曲？！気になる歌詞＆PVを解説♪

和訳

【痛みを抱えて泣きたくはない。

もうこれ以上こんなことはできない。

眠れない。夢見ることなどできない。

全ては、悪夢だ。

私は泣いてしまう、そして、私、私、私は……】

辛い過去など、見たくもない。

そう思っているのに、自分の意志とは関係なく繰り返されるあの光景。

現実との区別がつかないほどに鮮やかに蘇ってくる、思い出したくもない過去。

それを忘れさせて欲しいと、インキュバスに懇願します。

彼女を襲うインキュバスに、その体の代償につかの間の夢を、求めるのです。

そして、ふと昔を振り返ります。

何も知らなかった頃のことを。

幸せだった頃のことを。

そして、その幸せが続くはずだった人生から引きずり降ろされた時のことを。

どこで間違ってしまったのか。

もう今となっては、どうすることもできないけれど。

悔やんでも、悔やみきれないこともたくさんあるでしょう。

それでも、何かが違っていればこうはならなかったのではないかと思ってしまう。

そして過去を思い出しては、過去の過ちにまた苦しんでしまう。

救いはどこにもないから、彼女はインキュバスに救いを求めるのです。

彼女を襲う、夢魔にでさえ、愛を求めて。

悪魔とわかっていながらも、それでも愛を求めずにはいられません。

これまで愛を手に入れてこなかった彼女の、哀しい願いです。

無邪気だったあの頃は、自分にも愛と幸せが訪れるものと彼女も思っていました。

現実はそうではなく、いつの間にか愛は失われ、夢に描いたバラ色の世界を求めて彷徨い続けます。

現実は凄惨極まりなく、夢や、希望は、1つずつ見事なほどに潰されていきました。

愛を手にすることのできない世界で、それでも彼女はまだ生きていかなければならないのです。

彼女にとっては、悪夢と変わりのない、もしかしたら悪夢のほうがまだ優しいかもしれない、現実の世界で。

現実に絶望してしまい。夢魔＝インキュバスにまで救いと愛を求めてしまう、哀しい”私”の姿が痛々しいほどです。

投げやりなように見せかけて、切実に愛を求める姿が、アルバム『L-エル-』の主人公、エルと重なります。

この「INCUBUS」は、この曲1曲のみで聴いた時と、アルバム『L-エル-』を最初から最後まで通して聴いた時の印象は、かなり異なります。

どちらも魅力的ですが、あまりの印象の違いに驚いてしまうかもしれません。

是非一度、アルバムを通して聴いてみてください。きっと、yasuの仕掛けたその奥深い世界に魅了されてしまうことでしょう。