ハングリーな出だし!
弱い自分なんてとっくに自覚してんだよ
そんなモンに馴れ合いたくないね
たとえば俗世間 ダメだと嘆く導火線
自分に火がつかぬように
出典: メモリーズ/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
チーム内でお互いの弱音を言い合うというのは良くも悪くも一体感を生むものです。
「自分だけが悩んでいるんじゃないんだ」と確認すると安心しますよね。
しかし、歌詞の主人公はそれを否定します。
誰だって弱い部分はある…そんなものは「とっくに自覚してんだよ」と吐き捨てています。
自分に向き合って落ち込んで、そこから、はい上がって…
そんな段階はもう通り過ぎているのです。
まだ弱音を言い合ってなぐさめ合っている人々をひとまとめにして「俗世間」と呼んでいます。
「ダメだと嘆く導火線 自分に火がつかぬように」
落ち込む気持ちというのは他人にも移ってしまいます。
「そんな暇は自分には無い、落ち込みたいなら勝手に落ち込みな!」
と突き放しているわけです。
主人公はかなり上昇志向の強い人間と分かりますね。
過去を想う主人公!
幾千年も手を取り合って
体たらくを晒し合って
ズレた着地点
笑って見えたつもりなのに
遠のく距離は so far
寂しい訳じゃないのに
追いかけるのに
出典: メモリーズ/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
そんなハングリーな主人公にも、過去には切磋琢磨した仲間がいました。
「幾千年」というのは例えで、それだけ長く思える時間を一緒に過ごしてきたのでしょう。
「体たらく」は「好ましくない、ほめられない状態」を表す言葉です。
「弱い部分」や「失敗」をお互いに言い合い、笑い合う仲間がいたということですね。
「自分だけが弱いんじゃないんだ」と安心していたのに、気が付くと相手はずっと先を行っていました。
ならば、そのレベルまで追いついてやると気持ちを新たにしますが…
心になんだかモヤモヤしたものを感じます。
いつの間にか置いていかれた焦った気持ちなのかもしれません。
または、悔しさや自分に対する苛立ちなのかもしれませんね。
僕の愛をくらえ!
Loveをくらってみろ drive me crazy
誰かの理想を欲してんだろう
ねえ感性の成熟なんてしたくはないんだ
わかるでしょう
単純シンパシー
消えた目の前の景色は褪せた色より濃い
出典: メモリーズ/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
そんな主人公へ「僕の愛をくらえ!」とストレートにぶつけてくる人物が登場します。
愛というのは恋愛のそれではなく、仲間愛と捉えることもできると思います。
バスケに対しての愛かもしれませんね。
作詞者にとっては音楽に対しての愛かもしれません。
主人公が言い表せなかったモヤモヤした気持ちをズバリと言い当てます。
「誰かの理想を欲してんだろう」「感性の成熟なんてしたくはないんだ」
「そう思っているんでしょ?自分もそうなんだ」と主人公にシンパシーを感じて、手を伸ばしてきます。
こうして「愛を告白」してきた相手と手を取り合って主人公は「消えた景色」…
かつて持っていたはずの目標へと進んでいくのです。
それはいままで過ごしていた「褪せた」つまらない日常よりも鮮やかに感じるのでした。
とっぱらいたい壁のバカ高さにビビって
so tired
語れよ人生論
freak out! 言葉にするなんて難しいから
感性は追いつけやしない
出典: メモリーズ/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
目標を目指す途中でぶつかった障害が大きすぎて「ビビッて」しまい、ふと、疲れを感じる主人公。
そんな彼へ、「語れよ人生論」と呼びかけています。
しかし、「感性は追いつけやしない」「言葉にするなんて難しい」と言っています。
だから、態度や行動で…スポーツならそのプレイスタイルで「語れ!」と励ましているのです。
つくづく、熱い歌詞だなあと感じます。
退屈な日常なんて繰り返して
変わり映えのしない到達点
笑顔で涙を裏切って雫落としたメモリーズ
寂しい訳じゃないのに
追いかけたいのに
出典: メモリーズ/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
再び過去を振り返っています。
退屈でつまらなかった日常、一人では置いていかれたかつての仲間のレベルには達することができません。
表では笑顔でやり過ごしていましたが、心では悔しくて、人知れず涙を流していました。
そんなことを思い出して、あの頃は自分の気持ちが分からずモヤモヤしていたなあと回想しているのです。
「僕」から「僕ら」に変化
僕らは don’t cryin’
愛してるさずっと night&day
心も体も tenderness
もう思い出が引きずってしまうあの頃は今では
雑念フィルターにかけた目の前のあなたの影だ
もういない
出典: メモリーズ/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
もう「僕ら」は泣かないと言っているので、はっきりと一人では無くなったということが分かります。
「僕の愛をくらえ!」とストレートに告白してきた相手の想いを受け入れたんでしょう。
そして、愛するものが同じの仲間(あなた)と熱い絆で結ばれ、高みを目指すのです。
かつての悔しかった記憶も忘れて、目の前の目標しか見えないと語っています。
「僕ら」の愛は「心も体も」四六時中、想い合うような強いものだとのろけているんです。
更には、失恋の記憶なんて吹き飛んでしまって目の前の恋人しか見えない!という状態なんですね。
楽しむのがそんなにも悪いことなのかい my dalin’
あの頃は二番目に良かったんだろうね
一番いいのはこれからだよ
出典: メモリーズ/作詞:谷山紀章 作曲:飯塚昌明
過去の行動を後悔して自分を責めてしまうというのは良くあることです。
情熱を傾けている物事に対しては特にその思いは大きくなってしまいますよね。
今、すごく充実しているけれど、本当に自分がそれを楽しむ権利があるのか?
思い悩む性格の人はこうやって苦しむこともあるでしょう。
それに対して、「今を楽しむことは悪いことではない」と口説き落としているようです。
「過去の思い出(男)なんて忘れさせてやる!」
という必殺の言葉でしょう。
こんなことを言われたら更に好きになってしまいますよね。