晴れて大人の仲間入り
我が物顔で朝帰り
腫れ物触るよな周りの目に中指立てども空回り
暗い部屋照らしてよブルーライト
視力低下に体力低下
認めたかないがお前のせいさ
起こさないでティーチャー
I'm a day dream believer
俺の若さを日々吸い上げる
まるでサキュバスまたはインキュバス
近いうちに朽ち果てる
出典: Creepy Nuts/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
ここでは「大人」と書かれていますが、主人公はまだ20歳になったわけではありません。
推定すると、だいたい高校生くらいでしょうか。
大人というワードは「自分はもうよふかしに憧れる子供じゃない」という強気な姿勢を表しているのでしょう。
最初は一人でよふかしを楽しんでいた主人公ですが、仲間を作って朝まで遊ぶようになります。
まだ学生で実家に住んでいるのでしょうから、家族は心配なはず。
ご近所さんたちも主人公の変わりっぷりに驚いています。
そんな自分に対する視線に何食わぬ顔をしていた主人公ですが、体調にも変化が…。
学校に行っても寝てばかりで、何だか毎日身体がだるいのです。
「このままだったら早く死んじゃうんだろうな」
なんて心配しながらも、主人公はよふかしをやめられません。
ここで登場するサキュバスやインキュバスは悪魔や妖精の一種。
夢の中に現れて色っぽい夢を見せ、人間の精気を吸い取るといわれている存在です。
夜というサキュバスにとりつかれたかのごとく、主人公は弱っていきます。
そして弱っていることに気づきつつ、夜ふかしの魅力からは逃れられないのです。
そんなストーリーに添えつつ「ブルーライト」というフレーズ。
スマホの画面をイメージさせる言葉はラジオにメールを送るリスナーの姿も彷彿とさせます。
派手な夜遊びはしたことがなくてもスマホや友達とのメッセージでよふかしした人は多いのではないでしょうか?
そんな色々なよふかしが重ねられる巧みなリリックになっています。
日々の現実から目を逸らすため
お前に手を引かれて出向いた土曜の溜まり場
同じ周波数のムジナもれなく社会不適合者
だけどお前は決して誰も責めない
お前は決して何も聞かない
お節介な陽の光と違い
俺も正さない
未だお前を乗りこなせない
未だお前を使い果たせない
ずっと今日が終わらない
明日を始められない
出典: Creepy Nuts/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
完全に夜の魅力に取り憑かれている主人公。
夜遊びばかりしているからか、家でも居場所がなくなっていきます。
そのため、同じように居場所のない若者たちが集まる場所へ通うように…。
なぜ主人公はそんな状況になってまで、よふかしをやめられないのでしょうか?
その理由が、一番下の行から読み取れます。
主人公は日々の現実から目を逸らしたいがために、よふかしをしていたのです。
最初は好奇心で始めたよふかし。そして、悪いこと。
いつかはやめなきゃと思ってもやめられず、色んな人から責められて、結局反発してしまうという悪循環に。
居場所のない主人公にとって、夜は安心するのです。
昼間はサラリーマンや学生など、現実を生きられる多数派の人たちで溢れています。
そんな時に起きていると何もできない自分が責められている気持ちになるのでしょう。
その点、夜にはどんな人でも受け入れてくれるような器の広さが感じられるのです。
一度でもつまづいた経験のある人にとってはとても共感できる感情ではないでしょうか。
また、実はここにもラジオネタが紛れ込ませてあります。
「土曜の夜」は「オードリーのオールナイトニッポン」が放送される曜日。
「周波数」という言葉はそのままラジオの周波数として読み取れます。
また「電波」という言葉は、ちょっとクレイジーな状態を示すことも。
深夜ラジオのリスナーはなぜか「自分たちはダメなやつ」という立場でメールを送りがち。
普通の人が寝ているような時間に起きて公の場所では言えないようなやりとりをして笑う。
そんな自分たちは社会不適合者だ、と自嘲しながら自慢しているような言い回しです。
そんなリスナーの集う場所=オードリーのオールナイトニッポン、という意味も込めているのでしょう。
ここもまた誰もが共感できる、そしてリスナーもニヤリとできるリリックの巧みさです。
やっぱりよふかしは最高!
夜にみせられ、夜の罠にとらわれた主人公。
彼はよふかしをやめるのでしょうか?
開き直って遊びまくる
よふかしのうた
照らしてってmoonlight
目を奪ってブルーライト
ネオンサインが呼ぶ表裏
よふかしのうた
連れてってmidnight
血走ったredeye
大人達の子守唄
なんせ俺達の夜は忙しい
keep on dancin
さぁ鬼の居ぬ間に
俺達の夜は忙しいoh yeah
なんせ俺達の夜は忙しい
keep on dancin
さぁ鬼の居ぬ間に
俺達の夜は忙しいoh yeah
出典: Creepy Nuts/作詞:R-指定 作曲:DJ松永
結論をいうと、主人公はよふかしをやめませんでした。
何故なら、夜中の月も液晶画面から見える光も全て美しく感じられるからです。
それに夜には楽しいことがたくさん。
特に都会はダンスクラブなどの夜のお店で溢れて、飽きることはありません。
それを経験できないのはもったいない。
「鬼」というワードは、自分たちを悪いやつだと決めつける昼間の人間を表しているのでしょう。
その人たちがいない夜に、騒いで踊って…それのどこが悪いんだ。
自分の居場所はやっぱり夜だと主人公は思ったのです。
きっと主人公のように夜型人間の方もいることでしょう。
そんな人にぴったりなのが、この【よふかしのうた】なのです。
日の出の時間が近くなる頃。
そろそろ布団に入るあなたのお供に、この大人達の子守唄を聴いてみませんか?
MVにも注目
オードリー春日のむつみ荘
『オードリーのオールナイトニッポン』のリスナーでもあり、オードリー若林と友達でもあるDJ松永。
そんな親交があるため、オードリー春日の住む“むつみ荘”でのMV撮影が実現しました。
芸能人でありながら、その住所までバレているほど有名な場所です。
物が雑多に置かれている昔ながらのアパート。
決して綺麗とはいえない部屋で、Creepy Nutsが【よふかしのうた】を歌います。
途中バルサンを焚いたり、DJブースを作ってたくさんの人たちで暴れたり…。
とてもユーモラスなMVなので、ぜひチェックしてみてください。
部屋の持ち主であるオードリーは、テレビの中に映るM-1の映像で登場します(笑)。
実はこのMVには「オードリーのオールナイトニッポン」で話題に上がった数々の小ネタが。
先程紹介したバルサンはオードリーの春日が部屋でバルサンを焚いて大変な目に合った話から。
冒頭から登場するGの虫も部屋に出たときの騒動で話題にされています。
他にも春日の部屋にある大人のDVDや母親からの年賀状。
むつみ荘に押しかけたファンによる謎の差し入れなどなど…。
リトルトゥース(オードリーのオールナイトニッポンリスナーの愛称)にはたまらないネタが満載です。
是非隅々まで確認してみてください。
漫画とのコラボも展開!
そんな「よふかし」の魅力をめいっぱい詰め込んだこの一曲。
ラジオとのコラボに留まらず、同名タイトルの漫画も存在しています。
漫画「よふかしのうた」は週刊少年サンデーで掲載。
「だがしかし」などの作品でも人気を集めたコトヤマの作品です。
毎日を楽しめず眠れない中、「よふかし」して夜の街に出た少年。
彼が出会った不思議な少女は、なんと吸血鬼でした。
自分も吸血鬼になりたいと思うものの、そこにはひとつの条件が。
それは「吸血鬼に恋をすること」。
そんな夜から始まる、よふかしに魅せられた少年少女の物語。
2019年には1巻発売を記念し、Creepy Nuts×コトヤマのPVも制作されました。
投げやりなようなワクワクするような、そしてどこかセクシーな。
よふかしの気分を漫画と楽曲が魅力的に表現した一作は必見です。
深夜ラジオから生まれつつ、すべてのよふかしに捧ぐ歌として完成したこの一曲。
こんなコラボが生まれるのも「よふかしのうた」の魅力です。
Creepy Nutsのおすすめ人気曲
みなさんは普段、HIPHOPを聴きますか?
もしまだそんなに馴染みがなければ、Creepy Nutsの楽曲がおすすめです。
何故なら、彼らの楽曲は他のHIPHOPに比べて聞き取りやすいのが特徴。
そのため親しみやすく、歌詞の内容もスッと入ってくるでしょう。
今回は中でもおすすめな3曲をご紹介します。