「幻視」は何を指すの?
「君」の微笑みがもたらす「幻視」。
「幻視」の実態までは描かれていませんのでリスナーは想像するしかないです。
おそらく禍々しい「幻視」ではなく、幸せに満ちた「幻視」なのでしょう。
色々な物事が光り輝いて見えたことの延長線上にあるような麗しい「幻視」のはずです。
しかし「君」の魅せるものすべてが「幻視」であったとしたならどうでしょう?
これまでの歌詞の解釈が一瞬にして変わってしまいます。
それはとても恐ろしい解釈です。
これまでの恋愛の多幸感までもが「僕」による幻と化してしまいます。
タイトルが「ポルターガイスト」。
椎名林檎はここでリスナーに罠を仕掛けたのではないでしょうか?
二重の罠?
解釈はリスナーに委ねる
爽快なワルツでありながら、おどろおどろしい「ポルターガイスト」というタイトル。
椎名林檎は「如何様にも解釈できる」ようにこの歌詞を書いています。
歌詞の解釈で重要な鍵はやはり「ポルターガイスト」というタイトルそのもの。
またクライマックスに現れる「幻視」というワードです。
この曲を充実した恋愛の歌と捉えるか、「僕」の一人芝居と捉えるかの判断はリスナーに委ねられます。
これが曲調まで恐ろしい曲であったなら解釈は簡単です。
しかしこの曲は美しすぎます。
二重に罠が仕掛けられた曲、それが「ポルターガイスト」の正体だったのです。
見境も無く慾しくなるまぼろしは孰(いづ)れ衰へても
僕には美しく見えます。君だけに是を唄ひます。
出典: ポルターガイスト/作詞:椎名林檎 作曲:椎名林檎
予め完成されていたこの箇所を読むと「僕」が欲した幻としての「君」という解釈が相応しく感じます。
「騒霊」現象で恋愛を錯覚した「僕」。
「君」への憧れが昂じて「僕」は「幻視」を見てしまった。
歌い出しの段階では思いもよらなかった結末が待っていました。
椎名林檎による恐ろしい罠です。
「ポルターガイスト」を愉しんでください
歌詞そのものが怪異現象
椎名林檎の「ポルターガイスト」は解釈が一筋縄ではいかないものです。
充実した恋愛の歌と素直に解釈しても意味は通ります。
しかしそれではなぜこの歌が「ポルターガイスト」というタイトルなのかがいつまでも分からないままです。
椎名林檎という稀代のエンターテイナーが私たちに届けた怪異。
「ポルターガイスト」という歌は歌詞そのものが怪異現象なのです。
美しいワルツを聴いていたら「幻視」のような錯覚に陥ってしまう。
それでも私たちはおおらかな愛の姿をこの歌詞で学ぶことができます。
正解はどちらなのかはひとまず脇に置いて美しいワルツに酔ってみてください。
純粋な恋愛の歌なのか、はたまた怪異現象の歌なのか?
椎名林檎は恐らくどちらの解釈も許すように書いているはずです。
そして悩む間もなく曲はエンディングに向かいます。
彼女はリスナーに罠を仕掛けますが、過剰に悩むことまでは強いていません。
ポピュラー・ミュージックの醍醐味たる美しい歌と演奏に酔うこと。
適度に仕掛けられた罠について考えてみる愉しみ。
「ポルターガイスト」は何通りも鑑賞の仕方がある名曲として愛されています。
ここまで読んでいただいてありがとうございました。
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