「つまらないのは世界か?お前自身か?」
出典: FICTION/作詞:雫 作曲:雫
当たり前に思っていた価値観が崩れた時、人は不安になり心の拠り所を探します。
事実そのものが”つまらない”のか、事実をつまらないと感じている自分が”つまらない”のか…。
非常に哲学的で、禅問答のような問いかけです。
では、誰が問いかけているのでしょうか。
具体的な誰かと解釈することもできますが、内なるもう一人の自分と解釈するべきではないかと思います。
鏡に写ったもう一人の自分にまっすぐな瞳で正面から問われるイメージです。
その結果、本質を知った痛みの理由を、外に求めるのか、内に求めるのかで、その意味は大きく変わります。
どちらが良いとか悪いとかではなく、常に自分自身に問いかけ続けることに意味があります。
自分がいま立っている場所はどこなのか?自問自答するのです。
無意識に当たり前に受け入れる怖さ
夢の中、なんて自覚もできないまま
夢を見るのさ
出典: FICTION/作詞:雫 作曲:雫
夢を見ていて、稀に「あ、これは夢だな」と気づくことがあります。
でも、多くの場合は、目が覚めてから「あ、夢だったんだ」と気づくのではないでしょうか。
夢の中は自由ですから、法律や社会のルール、道徳的な倫理観も関係ありません。
現実ではあり得ないが起きたとしても、それが夢だとは気づかずに当たり前に受け入れてしまいます。
作りものだと知ることもできずに、作りものを事実だと受け入れる怖さ。
刹那の中で気づけない(=自覚できない)悲哀と諦めのようなものを感じるパートです。
作りものであることに気づく
いつにしようか
日々は刹那
予定調和を
君が壊す
出典: FICTION/作詞:雫 作曲:雫
少し文章を入れ替えて、ちょっと言葉を補足してみると分かりやすくなります。
”日々は刹那だから、予定調和を君が壊す日は、いつにしようか”いかがでしょうか。
”予定調和”というのは、そのままタイトルの「FICTION」と置き換えられます。
つまり、作りもの(=FICTION)であることに気づいて、それを壊す決意表明です。
例えるなら、恋愛の相談に乗ってるフリをしていた親友に、気持ちをぶつけ爆発する様子です。
日々はあっという間に過ぎてしまうから、気づいた時に行動するんだ、という強い意思を感じます。
気づいてしまった憂鬱
「長い長い待ち時間は退屈じゃない?」
美しくてモノクロだと気付いていないこともあるのさ
出典: FICTION/作詞:雫 作曲:雫
作りものと気づいてしまった途端、一気にすべてのものが色あせて退屈になります。
作りものだと知らない時は、それが美しく見えて、本当はモノクロだと分かりません。
全部が予定調和、あらかじめ決められた段取り通りに動いているだけ。
ただただ無気質でオートマティックに出来上がった世界に、心躍らせるものはありません。
そんな退屈な時間を過ごすことに意味があるの?と問いかけているようです。
壊した先に見えた景色
燃えるようさ君と二人
この景色を表す言葉を
今はまだ知らない
そうでしょう?
It is FICTION that sounds like nonfiction
出典: FICTION/作詞:雫 作曲:雫
”燃えるようさ”というのは、作りものを壊した先に見えた景色に心震わせる様です。
冒頭で”凍えそうさ”と表現していた心情の対比になっています。
どちらかといえば、ネガティブだった冒頭に対して、ポジティブな心の動きが感じられます。
あまりにも違う景色に圧倒されて、どう表現したらいいのか分からない。
そんな高揚感を綴っているのではないでしょうか。