ハニー 君に届きたい もう少しで道からそれてく
何も迷わない 追いかける ざらざらの世界へ
出典: エスカルゴ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
より一層、前向きな主人公です。
もう何も考えず、決心したのでしょう。
好きになった人を絶対に諦めない。
塞ぎこんでいるだけでは何も始まりません。
ただ想いが募るばかりで、本来のあるべき姿からズレていくばかりなのですから。
それに気づいた主人公は、ただ真っ直ぐに自分の気持ちと正直に向かい合うのです。
簡単に手に入る恋であれば、これほど強い意思がはたらくことはなかったでしょう。
好きになってしまったあの人は、ありふれた方法ではきっと手に入らない。
これまで歩んできた道が平坦すぎて、何も手には残らなかったといっています。
見えるか見えないかの微かに凹凸がある様子を、「ざらざら」だと表現しているのでしょう。
決して障害や高い壁などではありません。
彼女の現状をもっとよく知れば、「なんとかできる」となぞらえているのではないでしょうか。
希望の光が差す先へ、主人公は進んでいくのです。
ただ君を想うだけで...
つまらない 下らない 目覚めた頭が 否と叫ぶ
はじけて 飛び出て ここだけはハッピーデイ ドクロのタトゥー
カヌー漕ぐ 疲れてもやめずに
あの島が近づいてくるまで
出典: エスカルゴ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
ようやく前へと進みだした主人公。
失恋直後の頃を見つめなおし、自問自答を繰り返しています。
殻に閉じこもり、いじけていた情けない自分を叱咤激励しているのです。
ついにあるべき姿へと変貌を遂げようとしています。
寝ても醒めても想いだす、あの人。
彼女には体のどこかに入れ墨があるようです。
彼女を想いだすとき、真っ先に「ドクロ」が思い浮かぶのかもしれません。
きっと自分に、いつも笑いかけてくれているように見えたのでしょう。
主人公はそれを想像するだけでドキドキし、1日中幸せを感じていたのです。
棘の道をなんとしてでも乗り切ろうとしています。
奥底に潜む世界...
そもそも平坦ではない世界とは、一体どういうことなのでしょうか?
彼女に恋人がいたり、片想いをしている最中だったり...。
好きになってはいけない人を、好きになってしまったと疑う余地はないでしょう。
なんとかこちらへ気を惹こうと、ひたむきに自分をアピールしています。
もてる力を精一杯、がむしゃらに彼女へアタックしている有り様が感じとれるのです。
どこか空回りし、心苦しさも憶えてしまいます。
衝撃のラストへ
本当は嫌われたくないのに
ハニー 君をジャマしたい ごめんなさい 遅かれ早かれ
すべて解るはず 正直な ざらざらの世界へ
出典: エスカルゴ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
主人公は、好きな人の色恋に割り込もうとしています。
ともすると、彼女こそが危なくイケナイ恋愛をしているのかもしれません。
恋人から彼女が大切にされていなかったり、それこそ不倫をしていたり...。
おそらく後者ではないかと解釈いたします。
そのことに気づいた主人公は、お願いだから目を醒ましてと諭しているのでしょう。
好きになった人が、不幸せになってしまうことに黙っているわけにはいきません。
君の幸せを最優先するがゆえ、妨害するのは当然だといっています。
嫌われたっていい。必ず近い将来、間違いではなかったと気づいてくれるはずだ。
と、なりふり構わず飛び込むのです。
歪なその世界が真っ当であると勘違いしている彼女。
主人公は、負い目を感じつつも気持ちを抑えることができなかったのです。
幸せは誰のため?
ハニー 君に届きたい もう少しで道からそれてく
何も迷わない 追いかける ざらざらの世界へ
出典: エスカルゴ/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
ここでの2行の歌詞は、同じ先述の表現とは大きく異なります。
本当のあるべき姿からズレていたのは、彼女の方だったのです。
たまたま好きになった人が、「禁断の愛」にどっぷりと浸かっています。
これまで塞ぎこんでいた主人公の苦悩は、失恋ではありませんでした。
未来も希望もない、泥沼の恋愛にのめり込んでしまっている彼女。
その現状から引き上げるために、自分を犠牲にしようとするのです。
自分の気持ちはもう伝わらなくてもいい。
彼女さえ不幸にならなければ...。
ただただ幸せを願うだけの主人公でした。