UVERworld「儚くも永久のカナシ」の魅力を探る
2008年11月発売のシングル
「儚くも永久のカナシ」は、2008年11月にUVERworldの12枚目のシングルとして発売された曲です。
「儚くも永久のカナシ」というタイトルには、耽美的というか、良い意味で「中二病」的な響きがありますね。
タイトルに並んでいる「儚い」と「永久」は、反対の意味を持つ言葉です。これらを並べて「カナシ」とカタカナでまとめる。ここには、永久にないものを追い求めているような雰囲気がありますね。
「機動戦士ガンダム00」主題歌
この曲はアニメ「機動戦士ガンダム00」のセカンドシーズン前半のオープニングテーマにも起用され、話題になりました。
「平和のための武力行為」という矛盾を抱えるテーマが話題になったこのアニメ。「儚くも永久のカナシ」の世界観にも、そんな矛盾の間で葛藤するようなテーマが表れているように思えますね。
ガンダムシリーズの主人公は基本的に10代の少年が多いですが、00も例外ではありません。その思春期の心情も物語に織り込まれることが多いです。
「儚くも永久のカナシ」には、そんな若い世代特有の葛藤や悩み、成長もテーマとして込められているのではないでしょうか。
難解で厳しいテーマを描く「機動戦士ガンダム00」に、シリアスな雰囲気を持ったこの曲は主題歌として絶妙にマッチしていますね。
「儚くも永久のカナシ」の動画は?
公式MVあり!
「儚くも永久のカナシ」は、UVERworldのメンバー本人たちが出演している公式のMVがあります。
この曲はアクション要素の強い「機動戦士ガンダム00」のオープニングにふさわしい、スピード感のあるロックナンバーです。ドラマチックなオープニングの次にまずサビがあり、一度AメロやBメロを挟み、再びサビで盛り上がる…といった王道のオルタナティブ・ロックが展開されます。
メンバー全員で輪をつくっているかのように全員内側を向いて演奏している構図は、邦楽ロックのMVで定番の構図ながら熱く映りますね。疾走感溢れるロックな曲調も相まって、感情が高ぶるような盛り上がりが感じられます。
UVERworldといえばミクスチャー・ロックやヒップホップもある作風が特徴ですが、この曲ではそういった側面は控えめに、オルタナティブ・ロックやギター・ロックの色が強調されています。
サウンド面では特にギターが印象的で、曲全体の疾走感をサウンドで生み出し、儚げな表情を多才なフレーズで表現しています。
重厚なドラムやうねるベースがそこに重なり、バックのサウンドが一体となってボーカルTAKUYA∞の表現を引き立てていますね。
「儚くも永久のカナシ」の歌詞を紐解く
サビから始まる歌い出し
愛が愛を「重過ぎる」って理解を拒み
憎しみに 変わっていく前に…
何もかもそうだろ?
バツの悪い事情にはいつも蓋して 食わせ物のリアル
歪んだジレンマ時代で
約束したはずの二人さえ 気付かず通り過ぎて行く
出典: http://j-lyric.net/artist/a01151c/l01393b.html
「儚くも永久のカナシ」は、曲が伝えるシリアスなメッセージの幕開けを告げるようにサビから始まります。
愛や約束といったポジティブなことでさえ上手くいかない厳しい現実。そんなリアルに疲れたような歌詞には、やるせない諦めの気持ちが感じられます。
そこには曲のタイトルにもある「儚く」て切ない感情が見えますね。
壊しあって 解り合ってたことも
置き去りにした
これが成れの果てなの?
認めないで 立ち向かったときも
落ちて行く時のイメージから逃げ出せずに
Ah 何度でも探し出すよ
君の目 その手の温もりを
出典: http://j-lyric.net/artist/a01151c/l01393b.html
「真実の愛」を追い求めているかのような歌詞には、葛藤や諦めがない交ぜになった複雑な感情が感じられます。
くり返し描かれるそんな感情が、「儚くも永久のカナシ」という楽曲のテーマなのでしょう。
現実に愛想を尽かしたような言葉の数々には、「機動戦士ガンダム00」の作中で描かれる、歴史を学ばず愚かな行いをくり返す人類へのやるせなさ・諦めも重なって感じられます。