旅立ちとは別れの合図
Mr.Childrenの31枚目のシングルである『旅立ちの唄』。
東宝系映画『恋空』主題歌であり、NTT東日本CMソングとしても起用されています。
旅立つということは今いる場所を離れるということ。
今まで共にいた人との別れを意味します。
しかしその別れは決して悲しいものではありません。
大切な人の旅立ちを祝う歌詞の意味を紐解いていきましょう。
暗いからこそ輝くもの
この曲は最初に主人公が相手をなだめるところから始まります。
その声は優しく聞き手は一気に歌の世界へ。
怖がる必要がないと唄う声。
この曲は決して暗い曲ではないのだとわかります。
そしてぎらつけるような眩しさがある曲でもありません。
穏やかな風を感じさせる曲です。
必要な分だけあれば
怖がらないで。
手当たり次第に 灯り点けなくても
いつか一人ぼっちの夜は 明けていくよ
出典: 旅立ちの唄/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
夜は暗いものです。
人はその暗さを克服するために電気や火を活用してきました。
しかし夜の暗さは穏やかな眠りへといざなってくれます。
1人が怖いからと目も眩むほどまぶしい中で過ごしたら、かえって心は落ち着きません。
そもそも暗い時間は思っているほど長くはないものです。
ちょっと瞳を閉じて夢の中に行けば目が覚めるころには朝日が昇ります。
そのためには灯りは必要最低限でいいのです。
過ぎるものは毒になりがち。
何より眩し過ぎたら朝日が昇ったことにすら気づかないかもしれません。
そうしたら旅立つ機会を逃してしまう可能性もあります。
旅立ちには朝日がふさわしいですから。
いきたい場所がある
転んでも泣いても立ち上がって歩いて行く。
それはどこか行きたい場所があるからです。
今まで生きてきた場所を離れて自分が生きる場所を探す。
それはきっと喜ばしいことです。
そしてその旅立ちをどんな形でも祝ってもらえたら。
これ以上なく嬉しいことでしょう。
物事はとらえ方次第
転んだ日は はるか遠くに感じていた景色も
起き上がって よく見ると なんか辿り着けそうじゃん
出典: 旅立ちの唄/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
人は転ぶと下を向きます。
しゃがんでいる状態なので目線も低くなるでしょう。
転んだことの恥ずかしさから心情的にも後ろ向きになりがち。
そんな状態で目的地を見てみても、自分の足ではいけないほど遠い場所に感じるでしょう。
後ろ向きの姿勢では低い山だって高く見えてしまいます。
自分には届かないと、たどり着けないとしり込みすることもしばしばです。
しかし、一度起き上がって改めて目的地を見てみると違う感情が浮かんできます。
目線が高くなったからか、気持ちを切り替えたからか。
自分の足で歩いていればいずれたどり着けそうに感じます。
心持によって視点によって物事の見え方はだいぶ異なってくるもの。
行きたい場所までの距離があまりに遠く感じるようだったら、一度気持ちを落ち着かせてみては。
悲観しているほど悪い結果にはならないでしょう。
旅立つ街からのエール
君の大好きだった歌 街に流れる
それは偶然が僕にくれた さりげない贈り物
出典: 旅立ちの唄/作詞:桜井和寿 作曲:桜井和寿
応援歌はピンチの時や頑張りたいときに聞くと気持ちを奮い立たせてくれます。
思い出や心情に寄り添って自分の気持ちを歌が後押ししてくれた、気持ちを奮い立たせてくれた。
そんな経験を誰もが一度はしているのではないでしょうか。
今日、主人公は旅立ちます。
いえ主人公もですし大切な相手も旅立つのでしょう。
そんな時に自分たちの街に流れている曲は「君」が大好きだった歌。
旅立つ時に思い出の曲が流れるなんて、偶然にしてもロマンティックです。
まるで街全体が自分たちの旅立ちを祝福しているように感じるでしょう。
偶然だし、思い出のある曲だからたまたま耳に入っただけかもしれません。
しかし進もうとする自分たちの背中を後押ししてくれます。
そうして彼らは愛する街を離れて新たな世界へ旅立つのです。