AKB48「離れていても」
「会いに行けるアイドル」をコンセプトとして結成されたアイドルグループ、AKB48。
芸能界で活躍する多くのOGを輩出し、現在まで国民的アイドルグループとして多くの人に愛されています。
そんなグループが新型コロナ感染症の流行によって、自粛が促される期間に発表したのが「離れていても」です。
「会いに行けるアイドル」というキャッチコピーが通用しない未曾有の事態の中、彼女たちの想いが語られた楽曲。
今回はその歌詞の想いにフォーカスを当て、彼女たちの心の中を読み解いていきます。
戸惑いを隠せない人々
幸せを失った気がして
昨日は吹いてたしあわせな風が ああ いつの間にか止んでしまったようで
立ち止まって 空を見上げ誰もが戸惑っている
出典: 離れていても/作詞:秋元康 作曲:饗庭純
まず冒頭の歌詞パートでは、昨日までの世界と一変してしまい戸惑う人々の姿が描かれています。
滞りなく回っていた世界が急停止し、今まで通りの生活では立ち行かなくなってしまった。
そのことに戸惑い、人々は呆然と立ち尽くしているのでしょう。
このパートで「幸せな風」が止んだと歌っているのは何故でしょうか。
これは新型コロナウイルス感染症によって、今までとは違う生活になったことを示唆しているのだと考えられます。
その出口が見えない生活によって、幸せさえも失ってしまったような気になっている。
そんな人々の心境が窺える歌詞パートとなっています。
笑うことも忘れてしまうほど
明日が見えない世界は不安で 心がどんより雨雲に覆われる
微笑み方さえ忘れてしまいそうになるけど
出典: 離れていても/作詞:秋元康 作曲:饗庭純
今までの世界とは一変してしまったこと、いつまでこの生活が続くのか未来が見えないことに不安を感じているのでしょう。
心の中に芽生えたネガティブな感情によって、日常に今までのような楽しみを見出せない様子が表されています。
2行目では笑うことさえ忘れてしまうほど、人々の心から余裕が無くなっていることを意味しているのではないでしょうか。
急に世界が転換し、付いていけない世界の様子が描かれています。
今まで経験したことのない事態を受け止めきれていないことが伝わる歌詞パートです。
距離の中にある優しさ
希望を見逃さないで
ねえ 俯(うつむ)いてたら日差しが出ても気づかないよ
出典: 離れていても/作詞:秋元康 作曲:饗庭純
ここではそんな人々に対して、メッセージを送ろうとしているのでしょう。
そんな世界に飲み込まれるようにして、心の中の暗闇にばかり気を取られてしまうこと。
それがもしかしたら、私たちの目の前に現れるかもしれない希望を見逃す原因となってしまうかもしれないのです。
ここでははその希望を「日差し」と例えています。
前を向いて心にポジティブさを取り戻していくことが必要だと私たちに伝えたいのでしょう。
距離があっても
少しだけ離れて歩いて行けたらいい
近づき過ぎないで距離を保っておこう
後ろで見守ってるから
出典: 離れていても/作詞:秋元康 作曲:饗庭純