【embryo】とは
DIR EN GREY12枚目のシングル
【embryo】は2001年12月にリリースされた作品です。
実はこの楽曲にはDIR EN GREYらしいともいえるとあるエピソードがあることをご存じでしょうか?
○○すぎて総書き換え?!
この楽曲、もともとは父親と娘の禁断の関係を描いていました。
しかしシングルとして発売するにはあまりに過激で生々しいことから、詞を全編書き換えて発売したのです。
そのためシングルとして発売されたバージョンの歌詞には元々の物語性がありません。
どちらかといえば歌詞を書き換えた京さんの怒りのようなものを感じる作品となりました。
ただ自分たちの表現を制限されたままでは終わらないのがDIR EN GREY。
数か月後にリリースされたアルバム『鬼葬』に、元々のバージョンを収録したのです。
今回はとある一家を襲った大事件を描く、アルバムバージョンの歌詞を解説。
ボーカル京さんが描いた生々しい世界を徹底解釈します。
母と娘
母に何が起こったのか
そう1983年夏の朝 何時も横には 大好きなママがいて
ねえ何時もみたいに 私に微笑みかけてよ 照りつける朝 歪な表情浮かべて
出典: embryo/作詞:京 作曲:薫
主人公は1人の女の子。きっとまだ幼いのでしょう。大好きな母親と一緒にベッドに入っています。
非常に仲が良く、微笑ましい風景が思い浮かびませんか?
しかし女の子は目覚めてすぐ異変に気がつきました。
一緒に眠りについたはずの母親が隣ではなく、別の場所にいたのです。
平和に思えた朝の空気が一瞬にして不穏なものに変わりました。
母の自殺
締め付けたママの首筋 天井からぶら下がるなら バイバイMother
無言の涙苦しみ深く 耐え切れずに花は散りゆく 私は独り
出典: embryo/作詞:京 作曲:薫
母がいつものような優しい笑顔を見せてくれなかった理由。それは母が首を吊ったからでした。
自殺の理由には触れられていませんが、女の子は母親の死体を見た時点でその理由を理解しました。
だからこそ騒ぎ立てる様子も見せず、冷静に状況を受け入れたのでしょう。
続く2行目は母親の気持ちを表現しています。
母親は耐え難い苦しみを味わっていました。その苦しみに打ち勝つことができず、最後には死を選びました。
状況を理解している女の子は変わらず冷静な様子で、母親に別れを告げています。
母が死んでも
嫌でも受け入れる理由
さあ私を犯してキが済むまでパパの物よ
ほら上からママが私達を見下ろしてる
出典: embryo/作詞:京 作曲:薫