メジャー4枚目シングル
【Cage】は1999年にリリースされました。この楽曲のテーマは「虐待」。
過激な歌詞世界がまさにDIR EN GREYらしい1曲といえるでしょう。
歌詞では虐待を加える女性たちと、虐待を受けている主人公「僕」の関係が描かれています。
今回は歌詞中に登場する“MOTHER”の正体、そして僕が抱えるトラウマの内容に迫っていきましょう。
僕とMOTHERの関係性
僕はMで君はS
シビレを切らしてる 僕はマゾの血をひき サドの君を待つ
出典: Cage/作詞:京 作曲:薫
マゾはマゾヒスト、サドはサディストのこと。
主人公は自分自身がマゾヒストであるといっていますね。
「血をひく」ということは、主人公の両親も同じくマゾヒストだったのかもしれません。
となれば少なくとも、主人公が待っている君は僕の両親ではないとわかります。
甘い虐待?
出来れば 毒のbaiserで
出典: Cage/作詞:京 作曲:薫
続く歌詞も、僕がマゾヒストであることを印象付けるフレーズ。
「baiser」は接吻を意味する英単語です。
毒と表現されているのはもちろん虐待のこと。そんなネガティブな行為に対して僕が抱くのは「接吻」という甘い印象でした。
つまり僕は君からの虐待を心待ちにしていたということ。
まるで恋人同士の熱いキスのように、甘い時間だと捉えていたのです。
僕は自分のことをマゾヒストだと表現していましたが、まさにそんな部分が垣間見えるフレーズといえますね。
MOTHERの正体と虐待の真実
悲嘆故に美徳見えず 君は最後のMOTHERで
記憶埋めて気付かれぬように 最初のMOTHER
出典: Cage/作詞:京 作曲:薫
ここでようやく、君と呼ばれていた人物こそがMOTHERだったとわかります。
直訳すれば「母」ですが、それをあえて英語表記している点に注目。
この表記によって、僕と君が一般的にイメージする親子関係ではないことを表現しているのです。
さらにこのMOTHERですが、たった1人の存在…というわけではない様子。
「最初」の君が実の母親、「最後」の君がいまから虐待をくわえるであろう人物ですから、少なくとも2名以上いるでしょう。
1行目の「悲嘆」は虐待を、「美徳」は本当の愛を示します。
幼い頃より虐待を受け続けた主人公は、愛に対する歪んだ認知を持っていたのでしょう。
つまり僕はマゾヒスト故に虐待を求めたのではなく、虐待こそ愛だと信じていたから虐待を求めたということ。
最初の母親以降、何人もの母親代わりが僕に虐待を加えました。
しかしそれは僕自身が望んだこと。君との関係性において主導権は僕が握っていたのだと考えられます。
過去に想いを馳せる理由
時計は左回りでも 犯した罪は変えれず
最初で最後の理解者 焼き付けて
出典: Cage/作詞:京 作曲:薫
1行目の時計が逆回転している描写から、僕は過去に未練があるのだとわかります。
その理由が同じく1行目の後半。僕は幼くして罪を犯していました。
この時点で推測できるのは、MOTHERに関連した罪だろうということだけでしょう。
詳細はこの先の歌詞で明らかになります。