「World Atlas」はfhánaのルーツに根差した快作!
その世界を拡げたfhánaの音!
佐藤純一(キーボード)、yuxuki waga(ギター)、kevin mitsunaga(サンプラー)、towana(ボーカル)の4人組からなるグループfhána(ファナ)。
近年のJ-popのメインストリームを正統に受け継ぎ、前へと突進む彼らのサウンドは、2013年発売のデビューシングル「ケセラセラ」から更に進化。
2018年にリリースされた3rdアルバム「World Atlas」のタイトルに示されているように"fhánaの世界の地図"を拡げています。
このアルバムでは、towanaの表現力も増し、闇夜に光を照らすような明るい歌声によって、fhánaの新しい世界の訪れを感じさせるものになりました。
fhánaのボーカルに対するアプローチは機械的な音を目指しているようにも感じられますが、メンバーのyuxuki wagaがボカロ曲をニコニコ動画で発表していたことも関係あるのでしょうか……。
しかし、そこに人間的な大きい熱量を加えているのがtowanaの才能と言えるでしょう。
アニメ主題歌も多数収録!
本アルバム収録曲のうち「⻘空のラプソディ」、「わたしのための物語 ~My Uncompleted Story~」、「ムーンリバー」、「Hello!My World!!」、「calling」はTVアニメの主題歌。
それぞれ『小林さんちのメイドラゴン』、『メルヘン・メドヘン』、『有頂天家族2』、『ナイツ&マジック』、『テイルズ オブ ゼスティリア ザ クロス』……と、起用先は人気作品ばかりです。
音楽ファンのみならず、アニメファンからの大きな支持を得ていることは明らかですね。メンバーたち全員が音楽マニアでありアニメファンであることから繋がった、という経緯もあるようです。
グループ結成時の会議はメイド喫茶で行ったというエピソードがあるとか。確かに「青空ラプソディ」のMVでは、そのエピソードを意識させる演出となっています。
それだけに、これらのアニメを意識したアプローチは自身のルーツに根差したものであり、そこが成功の要因にもなっているのではないでしょうか。
「World Atlas」の歌詞には「成長」が隠されている
普遍的な「成長」の物語を綴る歌詞
アルバム「World Atlas」と同名の表題曲「World Atlas」には、思春期から大人へと移っていく過程で誰もが感じる戸惑いと失望、そして希望へとつながる成長の物語が描かれています。
世界が嘘の中に
隠れてしまったとしても
僕らは見つけ出せる?
誰か「ほんとう」を見せて
出典: World Atlas/作詞:林英樹 作曲:佐藤純一
ずっと続いていた今までの小さな世界から、様々な「事情」に縛られた大きな世界へと地図を拡げる時、自分の持っている「知恵」や「道具」の頼りなさに不安を覚えるのは誰もが経験することです。
世界地図を手にいつも持ってる
訪ねた場所を上書きする
またルート変えるよ
摩天楼たちも悲しい座標も
手に触れてほら本物になるよ
出典: World Atlas/作詞:林英樹 作曲:佐藤純一
心にある「怖い」という気持ちを見つめて、一歩踏み出していくことで自分の世界は拡がります。その足跡こそが自分の人生の物語となるのです。
普遍的な人間の成長の姿を、寄り添うように優しく見つめるfhánaの新曲「World Atlas」は、素晴らしい快作ですね。