文明への愛憎

粗探し あ いやらし
次々に舐めとる蜜の味
君が愛しい 高らかに誘われたい

踊る 踊る 今

出典: ウテナ/作詞:Reol 作曲:Reol,Giga

しかし慈しむべき生命の誕生もまた欲望の結果といえるでしょう。

己の欲望のままに生まれては消えていく文明を見ながら彼女はある感情を同時に感じているのです。

それは母性のようでもあり、コンピュータゲームの持つ中毒性にも似た耽美な味。

やがて気付いた事実

死ぬまでやってな...

【Reol/ウテナ】歌詞の意味を徹底解説!柵の向こうには毒々しい照明…クセになる世界観に触れよう!の画像

勝ち気な脳 前人未踏
アダムとイブのフェイバリット
エイトビート 心音が止まるまでのショービズ
要らんもんポイ 恥晒せ
僻事 理不尽だらけ
日毎入れ替わる細胞 僕はどこの子
死ぬまで打ち立てろウテナ はい堂々

あー動じないな

出典: ウテナ/作詞:Reol 作曲:Reol,Giga

文明が発展するにつれ統治者は領土を拡大しようとします

新天地を求めアメリカ大陸に辿り着いた清教徒たちは現地の人々を虐殺しその地を奪いました。

旧約聖書で約束の地に禁断の果実を植えた神々の子孫は他の神を信仰する者と争いを止めません。

ここ日本では食料自給率の低下に反比例するように食品ロスを大量に生み出している。

神の視座で現代人の行く末を見てきたReolはこう言い放つのです。

「死ぬまでやってな」

数々の警告を無視し文明を発展し続ける現代人

とても皮肉な未来が待っているのでしょうか?

悪い子は僕だった

【Reol/ウテナ】歌詞の意味を徹底解説!柵の向こうには毒々しい照明…クセになる世界観に触れよう!の画像

ねぇ ウテナ
シストロンがお利口 ラ・ステラ
進化論 シャングリラの上は?
理屈じゃない遊戯
高い高いして 君は悪い子

さぁ ウテナ
お目通り願う ラ・ステラ
メメント 洒落頭 末は
上がる上がるわ

ほら、高い高いして 君は悪い子
高い高いして 僕が悪い子

出典: ウテナ/作詞:Reol 作曲:Reol,Giga

『ウテナ』のラスト、Reolが準備したどんでん返しにお気づきでしょうか?

権力と欲望の象徴である『ウテナ』はReol自身だったことを匂わせて終曲を迎えるのです。

玩具のように世界を壊してはまた作り直す無邪気でたちの悪い神さま。

Reolは無慈悲な神こそが欲望の最たる存在だと歌います。

とある物語で神についてこのような描写がありました。

「神さまはとてつもない力を持ったこどもだと思う

ラテン語でmemento moriは「死を忘るなかれ」という教訓です。

破壊と創造を繰り返す人類が神の領域に辿り着いてしまったのか?

もしくはすべては神さまの悪戯なのか?

Reolからの現代人への警告、それが『ウテナ』なのです

リクルート「FYHM」としての『ウテナ』

【Reol/ウテナ】歌詞の意味を徹底解説!柵の向こうには毒々しい照明…クセになる世界観に触れよう!の画像

『文明EP』の1つのピースとして制作された『ウテナ』には別の側面があります。

『ウテナ』はリクルートの企画する「FYHM」というコラボレーションシリーズへの提供曲でもあるのです。

「Follow Your Heart & Music-自分の心に従え。音楽と一緒に。」

そう題されたシリーズにはReolの他SKY-HI吉田凛音感覚ピエロSaucy Dogが参加しています。

各々のミュージシャンが「挑戦」をテーマに異業種のプロとコラボレーションを展開する「FYHM」。

そこでReolは文明の創造をテーマにした『ウテナ』のMVをダンサーのMIKUNANAとコラボしたのです。

個性的な作品が並ぶ中、『ウテナ』は異端とも捉えかねない個性を発揮しています。

「"Follow Your Heart & Music" Presented by RECRUIT」スペシャルサイト。聴いた人や見た人が一歩踏み出して「挑戦」したくなる作品を、SKY-HI、吉田凜音、Saucy Dog、Reol、感覚ピエロが制作。

最後に

【Reol/ウテナ】歌詞の意味を徹底解説!柵の向こうには毒々しい照明…クセになる世界観に触れよう!の画像

今回はReolの『ウテナ』の壮大な世界観に迫ってみました。

文明の誕生により繁栄した人類は欲望の象徴としての「台(うてな)」を建造

その様子を神の視点で眺めるReolは人類の滑稽さをシニカルに表現しています

『ウテナ』は『たい(want)』になり『シンカロン(進化論)』を経て『失楽園』へと辿り着く。

つまり『文明EP』で1つの文明の誕生から滅びまでを描いた壮大な物語なのです。

ぜひ4曲を通して聴いてみてください。

きっと世界の見方が少しだけ変わるはずです...。

関連記事のご案内