弱ってたこの身体から
零れ落ちた刺が
足元を飾り
立ちすくんだまま
映った鏡の
いくつものヒビに文句も言えずに

出典: Cage/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ

「檻」のなかに閉じ込められているような閉塞感を抱いている主人公

Aメロの「身体」というのは、肉体と精神そのどちらも弱っていたということです。

弱くて敵意剥き出しの自分の感情が零れ落ちるさまを、鬼束さんは「刺」と例えます。

自分自身を映す鏡はヒビだらけ。

自分のことが客観的に判断できずもがいているようです。

傷を受け精神的にも肉体的にも限界な主人公。

その心持ちを美しい日本語で綴った名曲です。

第3位『流星群』

【鬼束ちひろ】カラオケでおすすめ♪人気曲ランキングTOP10!「月光」や「流星群」は何位?歌詞アリの画像

第3位は『流星群』です。

こちらもTVドラマ『TRICK』の主題歌に抜擢されました。

筆者はリアルタイムでこのドラマを観ていました。

そこで思ったのがこの一風変わったドラマと澄み渡る鬼束さんの声が、不思議とマッチしているということでした。

一見何気ないように聴こえるバラードですが、そこには数々のエッセンスがちりばめられています。

呼ぶ声はいつだって 悲しみに変わるだけ
こんなにも醜い私を こんなにも証明するだけ
でも必要として

出典: 流星群/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ

何回も書いていますが、鬼束さんの作る歌詞は詩的です。

ただ詩的なだけではなく、そこには良い意味での驚きがあります。

余計な説明がないのも特徴的だと思います。

例えばサビ冒頭の「呼ぶ声は」というところ。

ここには主語がありません。

しかし、ここにはこれ以上の言葉なんかない、というくらいにしっくりきています。

この辺りが、歌詞に余計な説明がない、というところです。

また、歌唱もピカ一です。

呼ぶ声はいつだって」の「」の部分。

ここでコブシを入れて歌唱しているのがお分かりでしょうか?

そして次の「こんなにも醜い」の「」。

ここでもブルーノートと、溜めたコブシを使っています。

彼女の歌は、どの歌もブルースです。

ブルースとは「Blues」。

「Blues」とは、悲しみの意味でもあります。

第2位『月光』

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第2位は、言わずと知れた名曲月光』です。

曲の解説はいらないでしょう。

I am GOD'S CHILD [私は神の子供]
この腐敗した世界に堕とされた

出典: 月光/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ

この曲の一番の聴きどころです。

神の子供」とはいったい誰のことなのでしょうか?

この言葉にはさまざまな謂れがあるので、ここで改めて説明することはしません。

筆者が思うに「神の子」=「すべての人間」

「神の子」といわれると特別な子供なのかな?と思いがちです。

いわば鬼束さんは逆説的にこの言葉を用いたのだと思います。

「腐敗した」世界に産まれた(堕とされた)私たち全員のダークサイド(心の闇)

そして月の光(月光)。

いわば光と闇です。

人間は光でもあり闇でもある

本来、人間は二面性を持って生まれたのだ、ということを言いたかったのだと思います。

ゴスペルや讃美歌に通じるメロディーや節回しは圧巻です。

このとき、彼女はまだ19歳。

第1位

『眩暈』

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第1位は『眩暈(めまい)』です。

正直、『月光』とこの曲、どちらを1位にするか悩みました...。

この記事はあくまで、カラオケで歌うときに参考にする、ということを目的とした記事。

そうすると歌いやすさで『眩暈』が勝っていました。

筆者は第1位と第2位、どちらも甲乙つけがたいです。

『眩暈』は鬼束さんの4枚目シングルでもあります。

主人公の心の内をさらけ出す、シンプルな歌詞のうえに鬼束さんの声が重なる名曲

J-POP史上、こういったタイプの曲はなかったです。

貴方の腕が声が背中がここに在って
私の乾いた地面を雨が打つ
逃げる事など出来ない
貴方は何処までも追って来るって
泣きたい位に分かるから
分かるから・・・

出典: 眩暈/作詞:鬼束ちひろ 作曲:鬼束ちひろ

「貴方」のいろいろな場所を確認する主人公。

まるで「貴方」と今初めて出会ったようなそぶりです。

何処までも追って来る」のは「貴方」ではありません。

貴方に対する私の想い」が、彼女自身を追いかけてくるのです。

確信犯的に「貴方」という言葉を使う主人公。

そこにはイノセントな狂気が宿っています。

自分自身に「眩暈」した主人公。

この眩暈は、鬼束さんが常に追い求めているものではないでしょうか?

おわりに

いかがでしたでしょうか?

今回は鬼束ちひろのオススメ曲、それもカラオケで歌うときのオススメ曲を紹介してきました。

2000年でデビューし、独特な世界観でリスナーを圧倒し続ける彼女。

これからも私たちに類まれなイマージュ(幻視)を見せ続けてくれることでしょう。

OTOKAKE」では、鬼束さんの記事を豊富に掲載しています。

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