作品名を冠する楽曲「刀剣乱舞」
「刀剣乱舞」はまさに「刀剣乱舞」のための曲
ややこしい見出しをつけてしまいましたが、文字通りの意味です。
楽曲「刀剣乱舞」は、まさに「ミュージカル『刀剣乱舞』」のための曲なのです。
この曲は、「阿津賀志山異聞」公演の楽曲であると同時に、刀ミュ全体のテーマ曲でもあります。
刀ミュ2作目以降もこの楽曲は歌い継がれているんです。
さらに、公演ラストのカーテンコール。
ここで使われているのも全作品共通してこの楽曲ですよね。
実際に公演を観たことがない人でも、"とーけんらー♪"というサビのあの部分は歌えてしまうのでは?
それほどまでに刀ミュの象徴として認識されている「刀剣乱舞」の歌詞の世界に迫ってみたいと思います。
ちなみに、今回解説するのは、刀ミュシリーズ1作目「阿津賀志山異聞」公演で歌われた「刀剣乱舞」です。
冒頭からクライマックス!
イントロから続くサビ
刀剣乱舞 強く強く
鍛えし鋼
今 解き放つとき
刀剣乱舞 高く高く
誇り 胸に抱きて
この身 朽ち果てるとも
出典: 刀剣乱舞/作詞:茅野イサム 作曲:篤志・渡辺光彦
ドラマチックなイントロが流れ、第一声で歌われる歌詞が"刀剣乱舞"です。
サビの歌詞は、わりとストレートに文字通りの意味で捉えられるのではないでしょうか。
刀というのは、鋼を鍛え上げて作るものです。
そうやって後世に残る名刀として語り継がれてきた刀たち。
刀である以上、その本来の役目は斬ることです。
だからこそ彼らにとって"強くあること"は絶対なのだと思います。
その強さへの思いが、サビからも溢れています。
刀剣男士として顕現したことで、彼らは能動的に戦うことが出来るようになりました。
誰かの所有物ではなくなり、"個"として新たな一歩を踏み出した。
"解き放つ"という言葉からは、そんなイメージが浮かびます。
これまで数多の無名の刀が生み出されては、人知れず朽ちていったはずです。
しかし刀剣男士となった彼らは違います。
数百年という時を生き抜き、時代に名を残してきた刀たちです。
その誇りを胸に戦うからこそ、彼らはあれほどまでに凛として美しいのかもしれません。
6振を象徴するAメロ
Aメロは6振がソロで順番に歌います。
公演ではソロにあわせてピンスポットが当たり、各キャラクターの姿を浮かび上がらせました。
2.5次元舞台ではよくある、曲と自己紹介をドラマチックに演出する手法です。
これがあると、いよいよ始まるぞ!と期待と興奮が高まります。
ソロパートの歌詞にはそれぞれの刀を象徴するワードが散りばめられていますよね。
それについても1振ずつ考察してみたいと思います。
では、ソロパートを順にみていきましょう!
三日月宗近(黒羽麻璃央)
美しきその刃
月夜斬り裂き
出典: 刀剣乱舞/作詞:茅野イサム 作曲:篤志・渡辺光彦
天下五剣であり国宝でもある三日月宗近(みかづきむねちか)。
天下五剣のなかでもとくに美しいといわれているのがこの刀です。
"月夜"という歌詞も、名前の三日月を連想させますよね。
さらに、斬り裂くという言葉で語られるのが、三日月宗近らしいなと筆者は感じました。
戦闘時以外はのほほんと縁側でお茶をすすっているイメージの強い三日月宗近。
でも実際に戦うととても強いキャラクターです。
闇夜のなか月明かりを頼りに敵を倒しているような、そんな情景を思い浮かべました。
口元に笑みをたたえ、鋭い視線で次々と敵を斬り裂く。
劇中の殺陣で三日月がみせるあの姿にぴったりな歌詞です。
小狐丸(北園涼)
金色の野生 踊ればほら
雷鳴轟く
出典: 刀剣乱舞/作詞:茅野イサム 作曲:篤志・渡辺光彦
伝説の刀として語り継がれている小狐丸(こぎつねまる)のパートです。
小狐丸は、刀工がお稲荷様の化身と共に鍛えたという言い伝えがあり、能の題材ともなっています。
"金色"というのは、お稲荷様の神使である狐の毛の色のことでしょう。
踊りについての言及があるのも、能に縁がある小狐丸らしいですね。