さみしさを炙って
とまどいを煮込めば
僕と君の想いやがて
ひとつに薫り出す

出典: RECIPE(レシピ)/作詞:山下達郎 作曲:山下達郎

料理を美味しくする方法はたくさんありますが、もしも作っている途中の段階であまり美味しくなかったらどうするでしょうか?

煮たり焼いたり炙ったり。

色んな方法でどうにか美味しく食べようと努力をするはずです。

何だか恋愛に少し似ているような気がしますね。

上手くいかなかった部分は多少誤魔化す事が出来るのも料理です。

出来る限りの努力をし、美味しくなるように上手く調整する。

人と人との距離感もこの様な微妙な調整の上に成り立っています。

諦めずにとことん向かい合えば、料理も恋愛も必ず何かしらの正解を導き出す事が出来るのです。

悲しみを溶かして

ゆううつなスパイスも
ほほえみのポトフに
投げ込んでしまえれば
形も残らない

出典: RECIPE(レシピ)/作詞:山下達郎 作曲:山下達郎

直前のパートでは「料理(恋愛)とどう向き合うか」について語られていましたが、ここでは少し趣が違うようです。

1人では処理しきれないような嫌な事があった時の事を言っているようですね。

主人公にとって彼女の笑顔は正に最強なのでしょう。

どれだけ憂鬱な気分だったとしても、彼女の笑った顔を見た瞬間に全てを忘れてしまえるのです。

彼女の事が本当に愛おしくて堪らないのだという事が伝わって来ますね。

もしかするとそれは彼女にとっても同じなのかも知れません。

2人で食卓を囲む幸せな空間。

そこで楽しく会話しながら食事を取る時間が2人にとってどれだけ大切なものなのかは想像に難くありませんね。

幸せの作り方

君と
しあわせのレシピで
しあわせを作ろうよ
しあわせのレシピで
愛をもっと味わいたい

出典: RECIPE(レシピ)/作詞:山下達郎 作曲:山下達郎

サビで歌われている「レシピ」とはズバリ「人生」の事であると推測する事が出来ます。

2人で素敵な人生を作っていこうと、実は非常にストレートな愛情表現がされているのです。

2人がまだ恋人同士なのか、はたまた既に結婚した夫婦であるのかは定かではありません。

まだ恋人同士なのだとしたらこれから結婚や子育て、家を建てペットを飼ったりもするのかも知れません。

主人公にはそういった人生のプランがあり、その夢を彼女と一緒に叶えたいと願っているのです。

毎日彼女と同じ時間を過ごしている主人公ですが、これからもまだまだ彼女からの愛を受け続けていたいようですね。

君を想う

彼女の魅力

やさしさのムニエル
美しいマリネ
胸焦がすグリエ
匂い立つフロマージュ

出典: RECIPE(レシピ)/作詞:山下達郎 作曲:山下達郎

この章では主人公から見た彼女の魅力について歌われています。

色んな角度から彼女を見て褒め称えていますね。

きっとどこをとっても良いところばかりなのでしょう。

恥ずかしげもなく褒めているところを見るに、最早その愛は盲信的と言えるほど深い域に達しているようです。

これまでの歌詞の中にも料理の名前が登場していますが、ここでは全ての行に何かしらの料理名が使われていますね。

女性の美しさを表す際しばしば何かに例えられる事があります。

しかし食べ物に例えるというのはまた新鮮で面白い感じがしますね。

調理方法によって無限の可能性のある食材の様に、彼女の見せる表情も様々なのです。

もしかすると主人公にしか見せない表情があったりするのかも知れませんね。

隠し味

こぼれ出る心
ひとつまみのジェラシー
いつかみんな混ざり合って
きれいな愛になる
とびきりのキュイジーヌ

出典: RECIPE(レシピ)/作詞:山下達郎 作曲:山下達郎

ついに主人公の作ったレシピの隠し味が明らかになりました。

それは「ほんのちょっとの不安」だったのです。

料理では隠し味として、本当にそれを入れるの?と驚く様なものをほんのちょっとだけ入れる事があります。

例えば炒め物の仕上げにお酢を少し入れるとさっぱりした味になる等。

料理をした事がない人が聞くときっと驚くのではないでしょうか。

これと同じ様に主人公のレシピにも秘密の隠し味が存在したのです。

幸せな日常に潜む彼女に対する嫉妬の心。

どう考えてみても順調な恋愛の妨げになってしまいそうな感情ですね。

しかし、この嫉妬の気持ちこそが2人の恋をより深みのある味に導くための隠し味の正体でした。

甘いだけ、辛いだけ。

それでも美味しいのでしょうが、それだけではいけません。

本当に美味しい料理には何か特別な仕掛けがあって、しかもそれは誰にも知られる事なく隠されているものなのです。

主人公が彼女に嫉妬している理由は明らかにされていません。

おそらくその嫉妬の気持ちは彼女にもまだバレていないのではないでしょうか。

正に主人公だけの隠し味ですね。

甘い時間