1999年リリースのデビューシングル
ヴィジュアル系バンドの最終兵器『Janne Da Arc』
90年代が幕を下ろし、新時代に突入するまさにその時。
今回ご紹介する『RED ZONE』でメジャーデビューを果たしたのがJanne Da Arcです。
当時のキャッチコピーは『ヴィジュアル系バンドの最終兵器』でした。
X JAPAN、LUNA SEAが火付け役となり、L'Arc〜en〜Ciel、GLAYといったバンドが牽引したブーム。
ヴィジュアル系黄金期と呼ばれる大きな渦は、時代とともに衰退の一途を辿っていました。
そんなヴィジュアル系ブームの終焉間際にデビューしたというタイミングが影響したのでしょう。
Janne Da Arcへの期待は、音楽業界の内外含めてとても大きなものだったことは想像に難くありません。
それはキャッチコピーからも感じることができます。
高い演奏技術と耳に残るハイトーンボイスが紡ぐキャッチーなメロディ。
男女の心情変化を叙情的に描いた深い歌詞を武器に、様々な期待を背負ってデビューした彼ら。
まさに最終兵器と呼ばれるにふさわしいバンドなのです。
22ndシングルまでJanne Da Arcの売り上げ1位を保持した名曲
デビューシングルである『RED ZONE』の累計売上は、Janne Da Arcにおいて記録的なものでした。
約5年経過してリリースされる22ndシングル『Love is Here』までの間、抜かれることがなかったのです。
自らのデビューシングルを超えるまでに5年を要したわけです。
世間からJanne Da Arcへの期待値の高さが伺える結果となりました。
リリース前、『RED ZONE』はA面ではなかったという逸話が残っています。
本来はこのシングルはc/w曲の「seal」をメインとしてリリースする予定だったが、レコード会社が「「RED ZONE」は間違いなく売れる」と判断したため、こちらをメインとしてリリースすることになった。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/RED_ZONE_(Janne_Da_Arcの曲)
結果的にカップリングに落ち着いた『seal』ももちろん名曲です。
しかしながら、結果としてレコード会社が判断したA面を変更するという目論みは大成功を納めました。
シンセサイザーが華やかに彩る激しくもメロディアスなイントロが印象的な『RED ZONE』。
セールスが物語る通り、世に広くJanne Da Arcというバンドを知らしめる結果となったのです。
『RED ZONE』の世界観
手放しに愛情を表現し合うわけではなく、微妙な距離感を保ちながら駆け引きを繰り返す恋愛。
そんな、一見不思議な関係の男女を男目線で描いた物語が、今回ご紹介する『RED ZONE』です。
同じような状況になったとしたら、別れてしまう人も多いでしょう。
しかし、別れることなく関係を継続し続けるふたり。
一体どのようなことが起こっているのでしょうか。
不思議で切なく、しかし深い愛情に満ちた恋愛の物語の世界へご案内いたします。
駆け引きに満ちた男女の関係
含みのある主人公の行動
消えかけたキャンドルと月が目立つ
夜明け前 静かすぎるこの部屋は
あえて背を向けた僕の横顔に
悲しみにも似た意味があるとしても
出典: RED ZONE/作詞:yasu 作曲:yasu
「君」に対して好意を抱く主人公。
ふたりの関係は良好とはいえないように見えます。
どういう経緯があってこうなっているのか、というところは描かれていません。
しかし、手放しに互いを求め合う関係じゃないことは確かなのです。
その理由は、上記の歌詞。
主人公の行動には常に含みがあるようです。
この行動の意味。
それは、「君」の態度にあるようでした。
期待を煽る「君」の行動
"今までのkissの中で一番好き"
上げるだけ上げといて 後で笑えないオチが待つ
期待させるだけなら もうやめてよ
そこに夢をみてしまう
出典: RED ZONE/作詞:yasu 作曲:yasu