Janne Da Arcの9thシングル
シングル3部作の序章を飾る1曲
2001年にリリースされた、Janne Da Arcの9thシングル『seed』。
10thシングル『シルビア』、11thシングル『feel the wind』に続くシングル3部作の序章です。
うねるベースラインが特徴的なロックチューンで、一見華やかに聴こえる楽曲。
「出会い」というテーマからも前向きなイメージがあると思います。
しかしながら、歌詞を読み解いていくと実際はそうではないということが浮き彫りになってくるのです。
テーマについて少し触れましたが、この3部作はそれぞれテーマがはっきりしています。
- 9thシングル『seed』=出会い
- 10thシングル『シルビア』=プロポーズ
- 11thシングル『feel the wind』=別れ
このようにストーリー性を持たせた3部作。
その序章『seed』で語られる出会いは、決して理想的なものではありませんでした。
それが上述の「前向きではない」という部分。
そんな「出会い」から始まる物語が『feel the wind』の「別れ」で収束していくのです。
華々しいものではないふたりの出会いを感じることができると思います。
では、今回ご紹介する『seed』の世界観とはいったいどのようなものなのでしょうか。
『seed』の世界観
少し触れましたが、この曲は「前向きで華々しくない出会いの物語」なのです。
主人公が好きな人と結ばれるところまでを描きつつ、そこに罪悪感を纏わせる。
その罪悪感をJanne Da Arcが得意とする恋愛描写で見事に表現しています。
好きな人と結ばれるという一見幸せな結末にも関わらず罪の意識を感じる出会いとは…
いったいこのふたりがどのようにして付き合うことになったのかを紐解いていこうと思います。
では、歌詞の世界にご案内いたします。
漢字と異なる読み方の理由
チャンス
深刻(ゴキゲン)CALLで呼ばれて
フラれた君をなぐさめて
ここは優しさアピールして
チャンスが来たぜ!邪魔者はもういない
出典: seed/作詞:YASU 作曲:YASU
まずは冒頭の部分。
ここでは「深刻」という漢字に対して「ゴキゲン」という読み仮名が振られています。
どう考えても対極にある言葉である両者。
この読み仮名を振った理由は、2行目以降に語られています。
「君」のことが好きだった主人公。
しかし、その時点で「君」は他のだれかと付き合っていたのです。
その関係を壊してまで…という行動には出ずにジッとチャンスを伺っていました。
そしてある時、そのチャンスが到来します。
そう、「君」が彼氏にフラれて別れたのです。
このタイミングを主人公は逃しませんでした。
弱っている「君」を、ここぞとばかりになぐさめて急速に距離を縮めていきます。
彼氏という大きな壁がなくなった今、ここで一気に攻め落として自分のものにしたい!
そういう下心全開のアタックでした。
努力の結果、掴んだ「君」という存在
ニヤけた顔を隠して
ナチュラルなフリもシビアに
用意した口説き台詞に
君は目を閉じ 小さくうなづいた
出典: seed/作詞:YASU 作曲:YASU
下心を見せず、したたかに、狡猾に「君」に寄り添いながら心のスキマに入っていく。
手を緩めない主人公の猛アタックは、その甲斐あって身を結びます。
「君」のうなずきとともに、付き合うことになったのです。
この時の「君」の心境がどのようなものだったのか。
決して晴れやかなものではなかったでしょう。
好きだった人から別れを切り出され、実際別れてしまって傷ついていたわけですから…
そんな、「君」の弱みにつけ込む形で恋人という座に滑り込んだ主人公。
このことが、最後までふたりの関係に影を落とすことになるのです。
徐々に芽生える罪悪感
初めから分かっていた
出会ってすぐ 君に惹かれ
傷付くのが ただ怖くて
何も言えず 逃げてばかり
涙の理由 知ってるのに
君の弱味つけこんでた うしろめたさゼロじゃない
出典: seed/作詞:YASU 作曲:YASU